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「強迫観念を相手にしたらダメ」38歳漫画家が“強迫性障害の治療”でわかった意外なこと

日刊SPA! / 2024年4月11日 15時51分

――強迫性障害についての作品を発表されて、どのような反響がありましたか。

みやざき:たくさんのファンレターをいただき、本当に嬉しかったです。「こんなにも多くの人が強迫性障害に悩んでいるのか」と驚きました。(当事者である)子どもさんから手書きのお手紙をいただくこともあります。小さい子どもの患者さんのことを思うと苦しいです。大人でも、症状を言葉で上手く伝えるのが難しい病気なんです。周りの大人が早く気付いてあげられるといいですね。

◆強迫性障害を正しく伝える難しさ

――強迫性障害についてあまり認知されていない理由は、どんなところにあると思いますか。

みやざき:「恥ずかしいから」というのが理由のひとつじゃないかと思います。何度も確認したり、自分で作った儀式的な行為を繰り返したり、患者さん自身も「おかしい」って思ってます。恥ずかしいから、強迫行為は基本的に隠して行います。

 それから、この病気のことを言語化して伝えるのが難しいということ。患者さんの中には「これがこうなることが怖い」「だからこの行為をする」といった理論のようなものがありますが、それをこの病気ではない人が想像するのは難しいのではないでしょうか(はたから見れば無茶な理論ですし……)。

 アメリカでは、おそらく日本よりもこの病気のことが知られているのでしょう、強迫性障害を抱えた人が主人公の映画やドラマがあるんですよ。有名な映画として、『アビエイター』や『恋愛小説家』が挙げられます。

 日本のテレビ番組などでは強迫性障害の症例がほとんど紹介されないんですよね。取り上げられても、「潔癖症」として扱われたり……。日本人に強迫性障害と伝えても分かりにくいからそのような取り上げられ方をしているのかもしれませんが、正しく伝えられていないと認知も広がらないですよね。

◆困っている人が少しでも楽になるために

――マイナス思考を持っている人や、物事を悪い方にばかり考えてしまう人は「もしかしたら私も……」と思われるかもしれません。

みやざき:強迫性障害で考えることは、多かれ少なかれ誰もが感じていることなんです。その考えがおさまらず、本人が物凄く苦痛を感じている状態なら病気といっていいのではないでしょうか。

 例えば朝のテレビの情報番組で星座占いのコーナーがあるじゃないですか。それで今日の運勢が悪かったとしても、一般的な人は「ふーん」で終わると思うんです。しかし、「今日は運が悪いから家を出られない」「ラッキーアイテムを全部持っておかないと死ぬんじゃないか」までいっちゃうと生活できなくなっちゃいますよね。そのような恐怖や不安が積み重なって「もうしんどい、ダメだ」と思ったら治療を考えたほうがいいかもしれません。

 頭を殴られたり、心臓を揉み砕かれたりするような恐怖なんですよ。私はたまに調子の悪さを感じながらも、何とか日常生活を送れていますが、重度になると家から一歩も出られない患者さんもいます。この病気のことをもっとたくさんの方に知ってもらって、病気で困っている方が治療に取り組めるようつないでいただけたらいいなと思います。

<取材・文/秋山志緒>

【みやざき明日香】
1986年、関西生まれ。2010年、アフタヌーン四季賞で四季大賞受賞、デビュー。著書に『強迫性障害です!』『強迫性障害治療日記』(ともに星和書店)『性別X』(講談社)などがある

【秋山志緒】
大阪府出身。外資系金融機関で広報業務に従事した後に、フリーのライター・編集者として独立。マネー分野を得意としながらも、ライフやエンタメなど幅広く執筆中。ファイナンシャルプランナー(AFP)。X(旧Twitter):@COstyle

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