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高学歴なのに生きづらい“弱者男性”はなぜ生み出されるのか。トイアンナ×牛窪恵

日刊SPA! / 2024年4月21日 8時52分

◆高学歴で一見エリートでも生きづらさを抱えていたら社会的弱者

牛窪:日本の教育ではディスカッションなどコミュニケーション技術を教わる機会も少ないですし、コミュ力の有無は家庭環境や本人の資質と片づけられがちですよね。

トイ:自業自得とされやすい問題ですが、遺伝要素も高く「本人の努力不足」となじることは一方的な差別です。

牛窪:昭和の男性は多くを語らないのが美徳とされ、家庭でコミュ力が要求される場面は少なかった。でも今や男性にも家事育児力やコミュ力が求められ、別の格差を生んでいます。それでも国は家庭内に問題を押しつけている。

トイ:そう思います。社会から「支援の必要はない」とないがしろにされていますが、本当にそうなのでしょうか。高学歴で一見エリートでも、虐待や犯罪被害によって生きづらさを抱えていたら、自己責任ではない社会的弱者です。

牛窪:アドラー心理学でも、優秀な人は他責より「自責」で考えやすく、落ち込んだ際は注意が必要とされますね。

トイ:厚労省と警察庁がまとめた令和4年の統計でも、男性の自殺者数は女性の約2倍に上り、弱者男性へのアンケートでも、75%もの人が弱者になった理由を“自分のせい”と考えています。

牛窪:自責思考の人は、過去の行動から失敗要因を分析するので未来のミスを減らしやすい。でも高学歴な人ほど失敗経験も少なく、弱みを開示したがらないので、暗部を一人で抱えがちですよね。

◆余計な情報をシャットアウトして自分の内面と向き合って

トイ:そうですね。いい家で育った人ほど、弱者であるという現実に恥の意識が強い傾向にあります。「男らしさ」から降りるのは怖い、また降りると自分が損をするのではないかという規範が根強く刷り込まれています。かといって、自分を変える方法もわからない。たとえば婚活なら、洋服など見た目をある程度変えれば解決できる可能性があっても、家族の介護や病気とはずっと付き合わなければいけない……。メンタル崩壊ギリギリの状態で、人生の長期戦略を考えられない悪循環に陥っているのだと思います。

牛窪:人生を見つめ直すのにおすすめなのは、1週間に30分でもいいので、スマホから離れて完全なひとり時間を確保すること。お酒やコーヒーを飲みながらでも、散歩しながらでもいいので、余計な情報をシャットアウトした上で自分の内面と向き合うと、自分の認知を客観視できたり(メタ認知)、その先の進路変更にも前向きになれたりします。

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