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“頂き女子”りりちゃんを援護する声。なぜ被害に遭った“おぢ”が非難されるのか

日刊SPA! / 2024年4月25日 15時49分

だが、頂き女子りりちゃんが販売していた詐欺マニュアルには、明らかに「お金を引き出すための嘘」をつくよう書かれていた。

しかも、りりちゃんはキャバクラ嬢として、擬似的な恋愛関係が約束された場で客にこの話をしたのではない。マッチングアプリで出会った相手に「やみえい」(病んで心配させること)と称して、嘘をついた。つまり、ホストと客の会話とは、前提が異なるのだ。

であるにもかかわらず、なぜ「りりちゃんは悪くない」論が出てくるのか。その背景には、被害にあった男性の弱者性がある。

◆かわいそうランキングで下位におかれる“おぢ”

もともと、ネットには「かわいそうランキング」という言葉がある。文筆家の御田寺圭氏が提唱した概念で、「人間にはかわいそうだと思ってもらえる順番がある」という意味だ。

私が上梓した新書『弱者男性1500万人時代』では、この「かわいそうランキング」をアンケートでつまびらかなものとした。そこで明らかになったのは、最もかわいそうなのは若い女性で、中年男性は同情されづらい事実だった。

アンケートでは、「ある殺人事件があったとして、その被害者がどのような人間だったらかわいそうだと感じるか」を順位付けしてもらった。条件は年齢・職業・男女で作ったが、結果として「最もかわいそうではない」とされたのが、50代・無職の男性だった。女性は無職であったり、年齢が上であっても同情されるが、男性は男性であるというだけで、かわいそうランキングの下位に置かれてしまったのだ。

その理由を書いてもらったところ「基本的に女性は弱い立場」「女性の方が弱い」と、女性を庇護しようとするコメントが目立った。まさに、頂き女子りりちゃんに対して投げかけられている言葉であろう。対して、男性はたとえ被害者であってもかわいそうではないとされる。これが、「弱者男性」の現状である。

◆頂き女子りりちゃんが狙った「弱者男性おぢ」

そして、頂き女子りりちゃんは弱者男性を‟おぢ”としてターゲットにした。マニュアルによると、お金を搾取できるおぢの特徴は「孤独で、趣味がなく、地位が低く、恋愛経験が少なく、借金をしたことがある」人である。ロマンス詐欺というと、あたかも金持ち男性からお金をせしめたかのように誤解されるが、実際には孤独でお金も少ない人間の、限られた資金を奪ったことがわかる。弱者女性が強者男性を利用して金銭を得ていたのではなく、さらなる弱者男性から搾取している地獄の構図なのだ。

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