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「選択肢が“飛ぶ”しかない」悪質なホストクラブに勤めてしまった男性のその後

日刊SPA! / 2024年4月27日 15時52分

「ちょうどその頃、彼女ができたんです。彼女の実家が地方で稼業をしていることを知ったんです。こんなチャンスはないと思い、彼女と話し合って計画的に子供を作りました。当時、20代前半だったので普通に結婚するのでは彼女の親から認められない。そこで子供を作り、彼女の実家に婿養子として入ったんです」

 当然、店側はリクさんが彼女の実家に嫁いだとは知る由もない。こうしてリクさんは本名(苗字)を変え、悪質なホストクラブから逃れた。もちろん、実家に連絡がきたが、リクさんの親には「行方不明」ということにしてもらった。幸い、実家まで借金の取り立てに来ることはなかったという。

◆「いま思えば、ハメられた」

 リクさんのように、悪質なホストクラブに入店してしまい、飛ぶしか選択肢がないホストは少なくないのだが、ハヤトさん(仮名・20代)もそのひとりだ。

「僕が働いていたホストクラブは、ペナルティが多い店でした。遅刻、当日欠勤以外にも毎週ある強制同伴やイベントなど、事あるごとに罰金を取られました。当時、大学生で授業もあったので遅刻も多く、給料はほとんどありませんでした」

 そんななかで、ハヤトさんを追い詰める事件が起きた。ハヤトさんの客と先輩ホストが関係を持つ、いわゆる“爆弾”関係にあったという。

「それを知った瞬間、客のことを殴ってしまったんですよね。普通なら、爆弾したホストに何かしらの罰があるはずなのに、なぜか僕が客から『訴える』と脅されて、示談金として30万円払うことになったんです。いま思えば、ハメられたんだと思います」

 ホストと客が手を組んで店を辞めさせないようにするのも、悪質なホストクラブではよくあるやり口なのだとか。そこで、飛ぶことを考えた。だが、ハヤトさんも店の寮に入っているため、荷物を運び出すのは簡単ではなかった。

「店には『遅刻する』と伝え、友達にも協力してもらい、営業中に寮から自分の荷物を運び出しました。その日、店から着信が鳴り止まなかったです。それから1カ月ほど、友達の家にかくまってもらい、その間に携帯番号も変えました。それから1年は、住所が知られている実家にも歌舞伎町にも行けませんでした」

◆田舎の工場でひっそり働く人生に

 ハヤトさんは大学を中退し、歌舞伎町から離れた田舎で工場の仕事に就き、ひっそりと働いている。一度飛んでしまえば、その後は都内で働くことも許されない……とハヤトさんは語る。悪質なホストクラブで働くということは、人生を壊されるようなものなのだ。

 今後、客にとってはもちろん、ホストにとっても悪質な店がなくなることを願うばかりだ。

<取材・文/カワノアユミ>

【カワノアユミ】
東京都出身。20代を歌舞伎町で過ごす、元キャバ嬢ライター。現在は夜の街を取材する傍ら、キャバ嬢たちの恋愛模様を調査する。アジアの日本人キャバクラに潜入就職した著書『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)が発売中。X(旧Twitter):@ayumikawano

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