44歳「長すぎたヤクザ人生」の先に待っていた結末。生活保護を受給するも“NPOを名乗る人物”に搾取される日々
日刊SPA! / 2024年5月3日 8時54分
そう語る横顔には、元ヤクザの面影は見られなかった。
◆元ヤクザの更生には社会的包摂が不可欠
暴力団問題を研究する社会学者の廣末登氏は、暴力団離脱者の受け皿をつくる問題は、税収の確保と治安維持のためにも重要であると話す。
「刑務所に戻りたがる高齢の離脱者も多いですが、費やされる税金は年間400万円ほど。社会復帰できずに、再び違法なシノギに手を染める人も少なくありません」
暴排条例が施行された’10年から10年間に、警察の支援で離脱した5900人のうち把握されている就労者は3.5%ほど(自営業者、縁故就労者は含まず)。施策が進まない要因には、一般社会から向けられる処罰感情のほかに、当事者たちの心情も大きく関わっているという。
「銀行口座開設支援などを受けるには、暴力追放運動推進センターが指定する協賛企業に就職することが条件。しかし、当事者たちはハローワークも含め、公的機関と関わることを極度に嫌がるんです」
◆離脱者のコミュニティが重要
そこで、行政との媒介として一定の役割を果たすのが離脱者のコミュニティである。
「大阪や埼玉などの元暴力団員の牧師がいるキリスト教会や、兵庫県のNPO五仁會など更生を目的とするコミュニティが役立っています」
それでも、すべての離脱者を捕捉することは難しい。そこで廣末氏はこう提案する。
「カナダのオタワで実施されている、青少年ギャングの離脱支援プログラムが参考になります。当事者は警察に寄りつかず、家族も行政サービスから隔絶されていることが多い。
そこで、地域社会に生活全般の相談窓口を設置する案です。これなら当事者らに対し、社会から見捨てられていないという肯定的な印象を与え、更生を促すことができる」
【廣末 登氏】
社会学者、ジャーナリスト。熊本大学特任助教を経て福岡県更生保護就労支援事業所長を務める。著書に『ヤクザと介護』(角川新書)など
取材・文・撮影/週刊SPA!編集部
―[[ヤクザをやめた]中高年の現在地]―
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