「遺体を取り違えて出棺する」ミスも…1兆円産業「葬儀業界」が抱える大きな課題
日刊SPA! / 2024年5月9日 8時53分
2020年4月に「さがみの会館」を運営していた式典さがみのが経営破綻しました。全盛期の売上高は2億5000万円程度ありましたが、葬儀の小規模化によって2019年には3000万円程度まで落ち込んでいたといいます。新たな市場環境に適応できない会社は、事業を継続できません。大倒産時代も予感させます。
そして業界再編も進んでいます。現在、勢いのある新興勢力の一社がティア。一日葬や家族葬を30万~50万円で提供しており、葬儀場のフランチャイズ展開も行っています。2023年9月期の売上高は前期比5.9%増の140億6800万円、営業利益は同11億3500万円でした。2024年9月期が会社の予想通りに着地をすると、4期連続の増収増益となります。
ティアは2023年11月に葬儀場16施設を運営する八光殿と、22施設の東海典礼を買収しました。八光殿は1947年に設立された歴史ある会社。老舗の葬儀場が、新興勢力に飲み込まれたのです。
◆オーダーメイド型の葬儀も登場し、人気を博す
「家族葬ファミーユ」を運営するきずなホールディングスも好調そのもの。2023年5月期の売上高は前期比13.6%増の105億3500万円、営業利益は同10.2%増の11億8100万円でした。2024年5月期は同20.4%増の126億8000万円、営業利益は同36.3%増の16億1000万円を予想しています。3期連続の2桁増収、営業増益を達成している急成長企業です。
今期は20店舗、来期は23店舗の増加を見込んでいます。これだけのスピードで出店しても需要が獲得できる背景として、低価格もさることながらオーダーメイド型の葬儀プランを提供していることが挙げられるでしょう。
野球、ゴルフ、音楽など生前に親しんでいたものを、飾り付けや演出に取り入れ、家族の納得度が高い葬儀を行えるようにしました。
きずなホールディングスはオーダーメイド型プランを強化するため、2023年5月期から人員の増強を図っています。その結果、2024年5月期の全葬儀に占めるオリジナルプランの比率は、前年の25.0%から31.3%に急増しました。当然、単価は高くなります。同社の営業利益率は2023年5月期が11.2%。2024年5月期は12.7%となる見込みです。
高単価のオーダーメイド型と低単価のシンプル型の2つを用意するやり方は、価値観が多様化する現代の潮流を巧みに捉えたものだといえます。
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