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対照的なヤマダとケーズ。“斜陽産業”家電量販店で分かれた明暗――大反響・総合トップ10

日刊SPA! / 2024年5月11日 15時45分

 しかしこれが失敗し、ヤマダは恒常的な営業赤字を出すようになりました。ヤマダ電機は徹底したコスト管理で、再び価格競争力を高めます。自社の物流センターを業界でいち早く構え、配送コストや検品作業などの効率化を図ったことで知られています。こうした取り組みが奏功して、業界をリードする存在となりました。

 家電需要が旺盛なうちは、価格競争を行っても利益を出すことができます。しかし、現在のように需要が一服すると、値引き合戦は組織の疲弊を招きます。ヤマダが住宅や家具販売などコングロマリット化を推し進めた背景には、不毛な価格競争に対する危機感がありました。販売する商品の幅を広げて提案力を高め、顧客からの支持を得ようとしているのです。

◆顧客満足度を高めるために「従業員にやさしく」

 ケーズホールディングスも、ヤマダとほぼ同じタイミングで家電量販店を展開しました。ヤマダ、ケーズ、コジマは“北関東YKK”という括りで呼ばれることがあります。これは北関東に本社を置く3社が、苛烈な価格競争を繰り広げていたためです。

 ケーズは「がんばらない経営」という方針を掲げているのが最大の特徴。これは無理をすれば必ずその反動があり、経営に何らかの歪みが生じるというものです。顧客第一主義を貫くためには、社員、取引先、顧客の順番で考えるのが重要としているのもユニークな点です。

 この視点は出店戦略にも生かされています。ケーズはコンスタントに毎期20店舗程度出店していますが、これは従業員が店長に昇進することをモチベーションにしてほしいとの想いが込められています。

 新規出店を重ねることは、必ずしも増益が保証されるわけではありません。会社が出店リスクを背負ってでも、従業員に対して働きやすい環境を整えることが、結果として顧客満足度の向上に繋がると考えているのです。

◆“かつてのスタイル”で堅調に推移

 ケーズの売上高は堅調に推移しています。2023年3月期は、家電特需が生じた2011年3月期と売上高はほぼ同じ水準でした。

 家電専門店に特化した店舗展開を行っており、新規出店によるシェア拡大を狙っている会社です。現金値引きに固執するなど、かつての家電量販店のスタイルを守っています。

◆家電部門の営業利益率が「最も低い」

 2社の違いは営業利益率の違いによく表れています。ヤマダは2019年3月期から2023年3月期まで、一度も営業利益率でケーズを上回ることができていません。

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