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「早くウチの子供に使わせろ!」“大谷グローブ”を巡って教育現場が頭を悩ませるワケ

日刊SPA! / 2024年5月13日 8時53分

「PTAなどを通じていらなくなったグローブを寄付してもらい、何人か同時にキャッチボールができるようにもしました。今も使い方を巡って教員たちの間で話し合いをしていますが、曜日を決めて放課後に先生の立ち会いの下、キャッチボールができるようにもしていきたいと話しています」

◆親からもいろいろ言われて……

 なんとか子供たちに大谷グローブを届けたいという教員たちの思いもあって、この学校では丸く収まったのだが、今なお紛糾している学校は少なくないという。

「平等に使わせなきゃいけない、みんなが使えるようにしなきゃいけないという前提がどうしてもあって、その方法を巡って頭を悩ませている学校は多いと聞きます。それとやはり安全面ですね。軟式のボールでも危ない、休み時間に自由に使わせられない、といった意見はよく聞きます」

 こうした学校側が使用に対して頭を悩ませるケースだけでなく、保護者からの意見によって紛糾するケースもあるようだ。都内の小学校に勤務する30代の女性教諭は、保護者からの意見にウンザリしたという。

「子供がケガをしないようにしてほしいという意見が来るのは想定してましたが、早く使わせろ、どうやって使うんだ? 私はこうやったらいいと、自分の意見を押しつけてくる親御さんも何人かいて、全部の意見をまとめるのには疲れました。こんなに現場が混乱するならいらなかったんじゃ……とも思いましたね」

◆昔なら自由に使わせていた!?

 大谷選手の野球人として気持ちは素直に嬉しい、だが……というのが、教育現場の本音のようだ。確かに数百人の子供たちに対して、3個のグローブではどう使えばいいのか、その方法を巡って混乱するのは当たり前のこと。加えて安全面の問題など絡んでくると、学校としても自由に使わせることに二の足を踏むのは理解ができる。先述の副校長は苦笑まじりにこう語る。

「まぁ、昔だったら自由に使わせることもできたと思うんです。放課後にキャッチボールやりたいコは使っていいぞ〜! みたいなノリでね。でも、今は何かとうるさい時代ですし、ヘタすると炎上するリスクもありますから。今回の一件は、大谷翔平という一般の人からしたら雲の上の人、子供たちからしたら大スターを身近に感じることができたという意味では、ものすごくよかったと思います。でも、その扱いはなかなかに難しかったです(苦笑)」

 先生たちの試行錯誤はまだしばらく続きそうだ。

取材・文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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