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なぜ「車椅子ユーザー」の炎上が頻繁に起こるのか。日本と海外で“決定的に違う”こと

日刊SPA! / 2024年5月15日 8時51分

「車椅子ユーザーへの理解が深まらない理由としては、やはり生活の中に、車椅子の人と触れ合う機会が圧倒的に少ないことが挙げられると思います。2022年には国連の障害者権利委員会が、日本の特別支援教育の体制について勧告を出しましたが、海外では障害のある子供もない子供も一緒のクラスで授業を受けている国がほとんど。

幼少期から当たり前のように障害を抱える人と触れ合う環境を通じ、互いに無理のない配慮の落とし所を見つける癖も付きますし、自分と違う人を受け入れ理解することで、健常者側も視野が広がると思います。一方で日本の現在の教育だとそういった機会を逸してしまっていますよね」

◆「1台40万〜50万円」の車椅子をオーダーで作る

筆者自身も“車椅子の人=体が不自由な人”という認識を持っていたが、取材を通じ、出来ることに個体差があることや、乗る車椅子にも違いがあることなど、何も知らなかったことに気づいた。

「どうしても車椅子というと、ご年配の方が使ってる車椅子の感覚が根強いみたいですが、一般的に皆さんが想像する車椅子は、病院などでよく見る介護用の車椅子ではないでしょうか。需要としては介護用の車椅子が多いと思いますが、アクティブに使う人は、電動や手動以外の要素、具体的には幅や高さ、車輪、タイヤの色や、クッション、背もたれや足を置くステップの位置など、一人一人の体にあった自走式の車椅子をオーダーで作ることがほとんどです。大体1台40万〜50万円ぐらいですね」

一人一人の体や残存機能に合わせた車椅子だと、ターンも早く、俊敏性があり、1日中乗っても苦にならないという。

◆「自己開示と対話」こそが求められる

車椅子ユーザーについて知る機会を逸してきた今の日本だが、4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化された。合理的配慮のラインは、それぞれの企業に委ねられており、「合理的配慮とは何か?」と頭を抱えている企業もいるだろう。

「合理的配慮というと、言葉が難しくイメージしにくいと思います。とはいっても、相手が求めていることだけすればいいし、それが介助する側にとって厳しければ、お互いの事情を理解して、妥協するポイントを見つければ良いだけだと思うんですよね。飛行機に乗る際も、昔はカウンターで車椅子を搭乗前には預けなくてはならなかったわけですが、今は『どこまで自分で行きたいか?』『どのタイミングでゲートに行きたいか?』などの要望をしっかり聞いた上で、こちらのタイミングに合わせてアイルチェア(※座席で利用できる車椅子)を用意してくれるようになりました。

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