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<新宿タワマン刺殺事件>51歳男が20代女性に…和久井容疑者の“客観性のなさ”を育んだ「日本特有の問題点」

日刊SPA! / 2024年5月17日 8時53分

『ハピかわ』のコンセプトは明快です。他人との関係をどうやって気持ちよく作っていくか。そのための具体的な方法を細かく説明しているのです。たとえば、人の目を見て挨拶をする。猫背にならない。下品ではない笑顔の作り方。清潔感あるファッション。

 こうした内容から伝わるのは、自分という人間は他人のために存在しているということ。そうした心配りが相手に伝わるような振る舞いこそが重要だと言っているのですね。そう、まさに客観性の話なのです。

 モテるモテない以前に人としてわきまえておくべきことを教えてくれるのです。

◆日本に「男性向けの教科書」がない理由

 筆者は『ハピかわ』を読んで、これは紳士の心得そのものではないかと思いました。アメリカでロングセラーの『HOW TO BE A GENTLEMAN』という本があります。2022年には改訂版の日本語訳『ドアはあけたらおさえましょう』(ジョン・ブリッジズ 訳酒井章文 サンマーク出版)が発売されました。コンセプトは全く『ハピかわ』と同じです。

<大事なのは、まわりの人が気兼ねなくいられるようにすること、嘘偽りなく、心からすてきな人物でいることだ。>(p.4)
<紳士の目標とは、自分のためではなく、友人や知人、そして世界全体のために、その場を暮らしやすくすることなのだ。>(p.267)

 こうして言葉遣い、テーブルマナー、メールの返信の仕方、会釈の大切さなどを、あらゆるシチュエーションを想定して説いている本です。

 なぜ日本にはこのような男性向けの教科書がないのか。あったにしても、なぜモテ要素が入ってきてしまうのか。

 そこに闇を感じるのですね。

◆おろそかにされてきた男子教育

『ハピかわ』が20から40代の男性の支持を受けていることは好意的に報じられていますが、筆者は必ずしもそうは思いません。なぜなら、その事実自体におろそかにされてきた男子教育という空洞があるからです。

 これからの社会、特に労働市場はどんどん女性が有利な環境になっていきます。これまでは男性上位だったテクノロジー、科学、数学などの分野でも女性の方が優れた業績を残す傾向にあるとの調査結果もあります。

 これまでのように男が職業や経済活動において主導権を握る状況がますます成り立ちにくい世の中になりつつある。その中で、稼ぐ力、モテのみを男の価値とすることには無理が生じてきます。

◆社会全体として、新しい男性像を構築しなければならない

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