1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

スタバと一線を画す「ルノアール」。“特異なビジネスモデル”を確立も、業績が悪化するワケ

日刊SPA! / 2024年5月18日 8時53分

喫茶室ルノアールはタバコが吸える喫茶店として愛煙家に愛されてきました。公式サイトによると禁煙席と加熱式たばこが吸える喫煙席の「分煙」タイプは75店舗、紙たばこ専用の「喫煙ブース」を構える店舗は56店舗あるようです。フルサービスかつ喫煙可というように、「喫茶室ルノアール」は近年では珍しいタイプの喫茶店と言えます。

ちなみに会社全体では「受取補償金」も収益源としています。受取補償金はビルオーナーからの立退料の事で、コロナ前の数年間は税金等調整前当期純利益に対して受取補償金がおよそ三割を占めていました。継続して利益を確保していることから、出店の際は立退料の事も考慮しているのでしょう。

◆「店舗の立地」が原因で大きく苦戦することに

コロナ禍では都内の駅前・繁華街という立地が業績悪化につながりました。20年3月期から24年3月期における会社全体の業績は次の通りです。

【株式会社銀座ルノアール(20年3月期~24年3月期)】
売上高:80.5億円→41.7億円→45.6億円→61.2億円→73.5億円
営業利益:4.1億円→▲19.6億円→▲12.4億円→▲4.1億円→1,500万円
最終利益:0.5億円→▲23.7億円→3.5億円→▲2.9億円→5,900万円
店舗数:117店→102店→101店→102店→100店

休業や時短営業の他、もともとビジネス利用が多かったこともあり、都心という店舗立地が業績悪化に拍車をかけた形です。22年3月期こそ助成金や店舗ビル売却による固定資産売却益(5.8億円)で最終益は黒字を維持しましたが、前年度の赤字は甚大で、自己資本比率は80%台から50%台へと大幅に減少しました。不景気下で立ち退きの要請も減り、前記の受取補償金についても23年3月期はゼロ、24年3月期は4,700万円とコロナ禍以前と比較してかなり減少しています。

◆「女性客」をターゲットにした店舗が続々登場

銀座ルノアールは、近年従来の喫茶業態以外を模索する動きが見られます。店舗に併設する形で会議室やワーキングスペースを整備する他、2018年には「Cafeルノアール」をリブランディングし、女性客をターゲットにしたであろう内装やメニューに変更。

加えて、業績悪化が進むコロナ禍の21年にはベーカリー「BAKERY HINATA」の1号店をオープンし、22年からはフランチャイジーとして洋菓子チェーン「シャトレーゼ」の店舗を構えています。ベーカリーや洋菓子店をオープンした背景には、やはり喫茶業態以外の収益源を確保したい狙いがあるとみられます。

今年4月には南フランスをテーマとした新業態カフェ「Aline café et sucreries」を府中市にオープンしています。フランスの家庭料理をイメージした料理や伝統菓子を提供し、こちらも内装からして明らかに女性客をターゲットにしているように見えます。

従来の男性客メインの業態から幅広い客層をターゲットにできるのか、新業態の動きに注目したいところです。

<TEXT/山口伸>

【山口伸】
化学メーカーの研究開発職/ライター。本業は理系だが趣味で経済関係の本や決算書を読み漁り、副業でお金関連のライターをしている。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー Twitter:@shin_yamaguchi_

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください