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埼玉県川口市の在日クルド人が「街で大暴れ」は本当か?SNSで繰り返される人種差別の真相

日刊SPA! / 2024年6月3日 15時53分

 夜の巡回パトロール取材の当日は、テレビ局や他のマスコミ関係者も取材にきていた。マスコミ関係者が注目する川口市で、在日クルド人が違法行為を繰り返しているのであれば、大々的に報じられているはずだ。

◆街は平和そのものだった

 パトロール中、道端で飲酒する外国人男性がいたが、その1名に帰宅を促した1件のみで、街は平和そのものだった。むろん、西川口付近は昔から風俗店等も多く、もともと治安のいい場所とはいえないのだが。

 同行したジャーナリストは、深夜の様子を見るために、ビジネスホテルに宿泊をしている。だが、目立つのは中東系ではなく、東アジア系外国人であり、街はチャイナタウンのようだったという。そのジャーナリストは居酒屋で絡まれているが、それは日本人からだった。

 それもそのはずだ。川口市の外国人住民は、現在約4万人と市人口の約6.7%を占めているが、川口市の国籍別外国人数を見ても、トルコ人(川口市在住のクルド人のほとんどはトルコ国籍)は中国人、ベトナム人、フィリピン人などに次いで6位だ(2024年1月1日時点)。少数の在日クルド人が目立つはずもない。実際に、夜の蕨駅周辺を歩いても、トルコ人と行き交うこと自体が少なかった。

 筆者はタクシーに乗り、運転手に街の様子を聞いた。川口市在住というその運転手は「外国人トラブルは多いし、迷惑している」と答えていた。

◆トルコでのクルド人迫害はないという言説

 岩本氏の話に戻る。Xでは「本国のトルコではクルド人への迫害はない」という言説が飛び交っているが、それは事実なのか。

「そういった言説がありますが、トルコのテロリスト認定の特殊性に関しては、英国内務省の『国別情報及び情報ノート』でも指摘されています。国や政権批判をしただけでも、政治犯として拘束される。それが迫害でなく、何なのか。彼らは、国に帰れば政治犯として不当に投獄されます」

 また、日本では当たり前の、罪刑法定主義(いかなる行為が犯罪となり、それに対していかなる刑罰が科せられるかについて、あらかじめ議会が民主的に定める成文の法律をもって規定しておかなければならないという近代憲法の原則)をトルコ政府が軽視しているとの疑義が当然に生じる。

「国を持たない最大の民」といわれるクルド人はトルコ、イラン、イラク、シリアなどで暮らしているが、各地で少数民族として迫害を受けている。イギリスやアメリカなどはクルド人を難民として受け入れている。「日本の難民認定の基準は非常に厳しい。だから、彼らは難民認定されていないが、国に帰れば迫害の対象です」(岩本氏)。

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