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老舗お酢メーカーの後継者は元広告マン。“創業者の末裔”と思われても「変化球勝負」で挑むワケ

日刊SPA! / 2024年6月4日 8時50分

老舗お酢メーカーの後継者は元広告マン。“創業者の末裔”と思われても「変化球勝負」で挑むワケ

タマノイ酢株式会社 代表取締役社長の播野貴也さん(40歳)

 老舗企業における事業承継は、大きな転換点と言える。1907年創業のタマノイ酢株式会社は、大阪府堺市を拠点に置く老舗お酢メーカーだ。2024年4月1日付で33年ぶりの社長交代の人事を発表。
 新社長に就任したのは、元広告代理店出身の播野貴也さんで、父親である播野勤氏から事業を引き継いだ形となる。

 6代目という歴史の重みを背負い社長に就任した背景や、1世紀以上の歴史を持つ老舗企業の成長戦略について、新社長の播野さんに話を伺った。

◆学生時代はバックパッカーとして世界旅行

 大阪・堺で育ち、高校までは地元の学校に通っていた播野さんは、「大学へ進学するなら東京へ行ったほうがいい」と言われ、早稲田大学へ進むことに。

「すごく自由な空気で、面白そうな学校だなと思ったのが早稲田大学でした。大学時代はいろんなアルバイトを経験しながら、貯めたお金でバックパッカーになり、海外を渡り歩くような生活を送っていました」

 学生時代で最も夢中に取り組んでいたのは、ビジネスコンテスト(ビジコン、ビジネスのアイデアやプランを競う大会のこと)だったそう。播野さんが所属していたゼミの仲間とチームを組み、ビジコンのテーマに沿ってプロモーション戦略を考えていたという。

◆夢中で取り組んだビジコンで学んだこと

「毎回、ビジネスプランを考えてプレゼンするのが、すごく楽しかったんですよ。大学の単位を取るとか、資格を取得するために勉強するのとは違い、自主的にメンバーをファミレスに集めて、一晩中語り合ってプランを考えていましたね」

 やりがいを持って取り組んだビジコンでは、「世の中には、良いものなのに広げられていないものがたくさんあることを学んだ」と話す。

「どんなに素晴らしい商品やサービス、地域の良さがあっても、結局その魅力を伝えられなければ、無価値なものになってしまう。それって、すごくもったいないことだと思うんですよ。まだ世の中に知られていない、良いものを広げる仕事は何かと考えたときに、自分の中では広告代理店が思い浮かびました」

◆「業界最大手との戦い方を学びたかった」

 新卒で大手広告代理店のADK(アサツー・ディ・ケイ)へ入社する。広告代理店の二大巨頭といえば電通と博報堂が思い浮かぶが、播野さんは「業界トップに対して、2番手や3番手の“戦い方”を学べた」と語る。

「業界最大手の企業は、2位や3位の企業に比べて、ビジネスの規模感も、見えている景色も全く異なります。だからこそ、同じ戦い方をしては勝ち目がないわけで、真っ向から挑むのではなく、変化球で勝負することが求められます。そうしたビジネスの戦い方を実践で学び、自分たちで何かをプロデュースしてどんな反響が返ってくるのかを学べた経験は貴重なものになりました」

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