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Amazonがヤマトの“契約切り”を好機と捉える理由「人手が足りない業界」で独自流通網を構築中

日刊SPA! / 2024年6月6日 8時53分

 日本郵便は、全国の郵便局を簡単には縮小できないという最大の弱点を抱えています。かつて増田寬也社長が郵便局の統廃合に言及し、大論争を引き起こしました。地域住民の物流・金融インフラなどとして機能する郵便局の縮小は、上場前から地方議員や自治体などから反対、懸念されていたことでした。

 そのため、日本郵便は構築したネットワークを最大限活用する方向に進まなければなりません。

 ヤマトとの協業により、2024年3月期のゆうパックの取扱数量は前期比3.0%増の10億個となりました。取扱数量は減少が続いていましたが、通販特需に見舞われた2021年3月期の水準を取り戻したのです。

 日本郵便はセイノーと協業することにより、ラストワンマイルと呼ばれるきめ細やかな物流網を活かしつつ、長距離輸送の効率を高めることに期待ができるのです。配送ネットワークをフル活用しつつ、効率化を図る――日本郵便は他社と比較して難しいかじ取りを迫られています。

◆「大手荷主中心の体制」から転換を図りたいセイノー

 一方、セイノーは2024年3月期の営業利益が前期の3割減少していました。不特定多数の顧客の貨物を1台の車両で輸送する「特積み」の物量が減少。売上が伸び悩んで減益となったのです。

 こうした状況下で、業界トップの日本郵便と手を組むメリットは大きいでしょう。

 セイノーは大手荷主中心の体制から、中堅荷主までターゲットを広げようとしています。取扱量が増え、輸送の効率化が進むことにも期待ができます。

◆2万5000人の個人事業主との契約解除効果は150億円?

 ビジネスモデルの大転換を図ろうとしているのがヤマト。成長領域に法人ビジネスの拡大を掲げています。

 ヤマトは2024年1月末に、配達を委託していた個人事業主約2万5000人との契約を打ち切りました。日本郵便に一部配送を移管したことに伴うもの。ヤマトは2024年3月期に集配委託費として969億円もの費用を計上しています。

 仮に業務委託料が1人当たり月5万円だったとして、12か月フル稼働していたとすると、2万5000人で150億円ほどが削減される計算です。

 ヤマトの営業利益率は3%程度で、佐川急便のSGホールディングス6~7%と比較すると見劣りがします。小型の荷物からの脱却を図り、利益率向上に努めているのです。

 なお、ヤマトも2024年5月に新会社を設立し、他の物流会社と共同で荷物の積み合わせを行うと発表しています。内包していた経営課題に2024年問題が加わって、配送効率を高める取り組みに余念がありません。

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