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「サブスクに負けた」スカパーの現在地。加入者激減でも業績が“悪くならない”理由

日刊SPA! / 2024年6月15日 8時53分

しかしながら、加入者数は年々右肩下がりなのです。2012年度の383万件をピークに減少し続け、22年度には300万件を下回り、24年3月期末時点で274万件になりました。2010年代以降の凋落はやはりサブスク動画市場の成長が影響しているでしょう。もともと地上波以外の娯楽として求められた衛星放送ですが、リアルタイムで好きな映画や歌番組を視聴できるサブスク配信サービスの魅力は大きく、NetflixやU-NEXT等に顧客を奪われました。

YouTubeの台頭もスカパー!凋落の一因です。CS放送は鉄道番組や旅番組など、チャンネルの専門性も魅力でしたが、コンテンツ数やジャンルは圧倒されており、そのメリットは失われました。YouTubeのサービス開始は05年で、07年には国内利用者数が1,000万人を突破し、現在では7,000万人以上が継続的に利用しています。月額料金の割高感やアンテナ設置の面倒さもスカパー!加入者数の減少に拍車をかけていると考えられます。

◆「伸び続ける宇宙事業」に活路が?

スカパーJSATホールディングスの2020年3月期から24年3月期における業績は下記の通りです。同社はメディア事業と宇宙事業を展開しており、スカパー!はメディア事業に含まれます。コロナ禍でもスカパー!の加入件数は伸びなかったようで、メディア事業の収入は年々減少しました。ちなみに22年2月期の減収は会計基準の変更が主な要因で、加入者数減少による減収幅は34億円です。

【株式会社スカパーJSATホールディングス(2020年3月期~2024年3月期)】
営業収益:1,395億円→1,396億円→1,196億円→1,211億円→1,219億円
営業利益:153億円→192億円→189億円→223億円→265億円
メディア事業の収益:944億円→884億円→673億円→657億円→636億円
宇宙事業の収益:452億円→512億円→523億円→554億円→583億円

なおメディア事業は年々落ち込んでいる一方、宇宙事業の売上は増加しました。同社は静止衛星を17機保有(共同保有含む)しており、宇宙事業ではこれらの衛星を使い、収入を得ています。24年3月期における宇宙事業の内訳は次の通りです。

①国内(48%):官公庁(防衛・災害関連など)や通信事業者からの衛星通信収入
②放送(21%):CS放送事業者への回線提供
③グローバル・モバイル(27%):海外通信事業者からの収入。航空・船舶に対する回線提供
※その他に新規事業領域の収入が4%

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