経済ニュースの大半はノイズ!? 経済評論家が教える「詐欺師に騙されない」たったひとつの方法
日刊SPA! / 2024年6月22日 8時50分
◆まずはビビらせるのが、詐欺師の常とう手段
詐欺師はこういうニュースを使って「国はアテにならない!」という噓を刷り込みます。
「日本は借金まみれでそれを返済するために政府は国民から金を巻き上げることしか考えていない。我々は被害者なんだ!」と。アメリカのテレビ説教師のように、まずは恐ろしい地獄の話で相手をビビらせるわけです。
そしてここから話は飛躍します。「日本円はいずれ紙くずになる」とか、「バンクホリデー」とか、「新円切り替え」とか、荒唐無稽なホラーストーリーを展開し、恐怖は絶頂に達するわけです。
◆「新円切り替え」とはなんだったのか
1946年2月、たしかに日本政府は第二次世界大戦直後のインフレ進行を抑制する目的で「金融緊急措置令および日本銀行券預入令」を公布しました。それは噓ではありません。
この措置により、5円以上の日本銀行券を強制的に金融機関に貯金させ、「既存の預金とともに封鎖のうえ、生活費や事業費などに限って新銀行券による払出しを認める」という非常措置を実施しました。これがいわゆる「新円切り替え」です。
強制貯金させられている間に、インフレで旧円の実質的な価値が目減りしたので評判の悪い政策でした。
◆経済学を知らないと、詐欺師の嘘を見抜けない
ちなみに、1946年の日本のインフレ率は60%です。これに対して2024年3月の生鮮食品およびエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)はたったの2.9%。こんな激烈な措置を採る必要なんてどこにもないですよね。
でも、経済学の知見を知らない人は、こういう噓に簡単に騙されてしまいます。
料理をやったことがない人は味つけが薄かったり、濃すぎたりいろいろ問題を起こしますよね。あれと同じです。慣れている人は塩加減がわかっているけど、慣れていない人はわからない。
だからレシピに分量が書いてあります。ちゃんと量って作ればそんなに大間違いはないわけです。経済学の知見とはまさにこのレシピみたいなものです。相場観とも言えます。
「新円切り替え」なんて話が出てきも、それが必要な水準のインフレ率が何%ぐらいなのかわかっていれば詐欺師のトークに乗せられることはありません。
<文/上念司 構成/日刊SPA!編集部>
【上念司】
1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中
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