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唐揚げ店の閉店ラッシュは「当然の結果」。飲食大手の参入が”悪手”だった理由

日刊SPA! / 2024年6月24日 8時52分

◆家庭でも作れる「実用食」は外食・中食に不向き

私は食のジャンルを「実用食」「嗜好食」の2種類に分けて考えています。実用食とは日本人が日常的に食べたくなるもの、多くの国民が手を出しやすく食べ慣れているものです。うどんやカレー、ラーメン、スパゲッティ、回転寿司などが含まれるでしょう。一方の嗜好食は日本の文化に馴染みのないもの、高額なものなどです。タイ料理や高級フレンチ、割烹料理などが含まれます。

一般に外食や中食では、家庭で調理しにくい、もしくは調理しえないものが期待される傾向にあります。嗜好食はこれに当てはまるものが多く、外食や中食に向いているといえるでしょう。そういった意味では唐揚げは実用食ですが、家庭で作るのが面倒だという人も多く、外食・中食向きとも思えます。

ただ、それでも家庭で作ろうと思えば作れてしまうのが唐揚げです。またスーパーやコンビニエンスストアでもおいしい唐揚げを購入できます。冷凍食品の唐揚げを家庭で「レンチン」すればおいしく食べることもできます。つまり、外食・中食に期待するモチベーションが低いのが唐揚げなのです。

◆「残っている店舗」の特徴は?

個人事業主や中小事業者の店舗も閉店が相次いでいますが、閉店せずに残っている店舗もあります。

ひとつはブーム前から続いている老舗の唐揚げ専門店。高利益が見込めなくても唐揚げを作って売ることがライフワークのようになっている個人店などです。損益分岐点も低く、継続性があります。「ブームだから儲かりそうだ」「出店コストが安いから」と、便乗的に参入した店舗はほぼ撤退の憂き目を見ています。

もうひとつは好立地の店舗。目的来店ではなく衝動来店が見込める店舗ですね。にぎやかな商店街などの店舗は「ちょっと小腹が空いたから」「いい匂いに誘われて」と偶然立ち寄るお客さんが多くなります。

そして、商品のラインナップや味のバリエーションが豊富な店舗。コロッケやメンチカツ、焼き鳥などが並んでいる、唐揚げ以外のものも買える利便性の高い店舗です。また醤油唐揚げや塩唐揚げ、手羽先やチキン南蛮など味のバリエーションが豊富な店舗も継続性があります。店舗に行っても買えるのはモモ肉の醤油唐揚げだけ……となると、よほどそれが好きな人でなければ来店しなくなるでしょう。

◆ブームに便乗するだけでは生き残れない

唐揚げは「専門店」を名乗ることで消費者にもわかりやすく、実用食でもあるためスタート当初は好意的に受け止められるでしょう。しかし参入障壁が低いことがネックで、あっという間にレッドオーシャン化してしまいます。「ブームだから」という動機だけで参入し、付加価値もなく唐揚げ一本で勝負しようとした店舗は飽きられ、淘汰されてしまうのです。これは唐揚げに限ったことではないでしょう。

何かのブームが到来し、「自分もやってみよう」と思う人もいるかもしれません。その場合、まずはそれが実用食なのか嗜好食なのか、家庭で作れるものかそうでないか、スーパーやコンビニエンスストアと競合しないかなどを徹底的に分析することです。ブームに便乗するだけで継続性と高利益を見込めるほど、外食・中食の世界は甘くはないのです。

<TEXT/永田ラッパ>

【永田ラッパ】
1993年創業の外食産業専門コンサルタント会社:株式会社ブグラーマネージメント代表取締役。これまで19か国延べ11,000店舗のコンサルタント実績。外食産業YouTube『永田ラッパ〜食事を楽しく幸せに〜』も好評配信中。

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