『with MUSIC』低迷の理由は“出演者”ではない?世界的に音楽番組が「衰退の一途」を辿っているワケ
日刊SPA! / 2024年6月26日 8時50分
<2020年代においてそのような形式の番組を見ても気が滅入るだけだ。(中略)イギリスでの生活にまつわる多くの物事と同様に、そこには愛情もなければ、退職した人々に対する退屈なサービスのような形で、みすぼらしく運営されているのである。>(The Guardian 2024年6月6日)
TikTokなどで若者が楽曲そのものに直に、そして反射的に創造性を発揮するインタラクティブな形でミュージックビデオを受容している時代に、ただテレビの前に座って音楽を受け身で見ることに、どれだけの楽しみがあるだろうか、と言っているのですね。
以上、アメリカとイギリスでの傾向からも明らかなように、そもそも『with MUSIC』のような形式の番組が新たに作られることが望まれていない時代なのだということが想像できます。
『with MUSIC』がライバル視している『MUSIC STATION』(テレビ朝日系)がなぜ強いのかといえば、それは長くやっているからというだけの話なのではないでしょうか。言ってしまえば、惰性の強さなのです。特別タモリが面白いわけでもなければ、素晴らしい楽曲をハイクオリティな演奏や音質で放映しているわけでもない。
ここ数年で音楽番組の数は増えていますが、決してその価値が高まったとは言えない状況です。
◆音楽との向き合い方はどのように変化したか
とはいえ、音楽そのものへの関心が全くなくなったわけではありません。ガーディアンのコラムでも言われているように、TikTokなどでは若者が過去のヒット曲を独自の解釈によって再構築してバズらせている。日本なら、「もう恋なんてしない」(槇原敬之)や「すごい速さ」(andymori)が掘り出されたように。
そして、世界的に楽器の売上も伸びている。昨年6月には、原宿にアメリカのギターメーカー、フェンダーの旗艦店がオープンしたのも記憶に新しいところです。楽器を手にし、演奏する人が増えているのです。
こうした流れからうかがえることは、もはや音楽は聞くだけのものではなくなった、ということなのではないでしょうか。視聴者や聞く人の創造性を刺激する溶媒となり、彼らのアクションを後押しする。いわば中間のメディアとしてこそ輝くのが、いまの音楽なのだと思います。
だから、『with MUSIC』の不振は出演者だけのせいではないのです。レコードやCDが売れていた時代の幻影を追うことが時代とはミスマッチなのです。それを動画再生回数やストリーミング数で言い換えても同じこと。
音楽を聞く(聞かせる)ことは通過点にすぎない。その認識が、これからの音楽番組に求められているのだと思います。
文/石黒隆之
【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。Twitter: @TakayukiIshigu4
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