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初めての刺青は「中学時代」。離婚3回、4児のシングルマザーがたどり着いた“幸せ”の境地

日刊SPA! / 2024年6月28日 8時54分

 その心がけはたとえばこんな場面で支えになる。

「男性関係において私が裏切られた話が多いように感じたかもしれませんが、それを強調したいわけではありません。重要なのは、ありがたいことにその度に誰かに助けてもらっているからこそ立ち直れている点です。たとえば最後の離婚騒動のとき、神戸市に戻りたいと思ったとき、いろいろなことを融通してくれたのは私が“兄”と慕う男性です。

 彼は昔、大きな暴力団組織に所属していたことがあります。それを打ち明けられても、私は別にこれまでと何も変わることなく接していたんです。人によっては拒絶したり、あるいは逆に権威を傘に着ようとすることもあるらしいのですが、素性がわかったからと言って、これまでの関係性が変わると思えなかったんですよね」

 人に対して偏見を持たず、そのままを受け入れられることこそ、麗菜さんの人付き合いにおける強味といっていい。だからこそ、こんな縁もできる。

「刺青愛好家たちで定期的に集まるイベントなどの運営も、近頃はやらせてもらっています。刺青を彫っている人はもちろん、身体に何も彫っていないけれど写真を撮るのが好きという人も参加したりしていて、意外とオープンな会合です。そこで他愛もない会話をして交流して、人と人が繋がり会えるのも、良い縁だなと思います」

◆見た目で損をしているからこそ、真摯に気配りをする必要がある

 身体に墨を纏うことについて、麗菜さんはこんなふうに考えている。

「一般の人からみたら異形ですよね、マイナスのイメージがあるのは当然だと思います。刺青にネガティブな感情を持たれるのも、理解しています。だからこそ、私は『やっぱり刺青なんて彫っている人間は……』と言われないように、普通の人以上に丁寧に人間関係を築いていきたいなと考えています。見た目で損をしているからこそ、理解されないと拗ねるのではなく、真摯に気配りをする必要があるのではないでしょうか」

 実の親からは愛情を与えられず、自らの心血を注いだ第一子には先立たれる。男性からの真の愛はとうとう得られなかった。

 それでも麗菜さんは今、「幸せです」とはっきり答える。その言葉に嘘はないだろう。なぜなら、麗菜さんは渇望したがゆえに、本物の愛情が何かを知っているからだ。子どもたちへの眼差し、ままならない日常を生きる同志たちへの思い――はては少し知り合っただけの人々に対しても「ご縁だから」と真心を持って向き合う。

 刺青を愛好する人たちが一同に会した写真がある。何も知らなければ思わず表情がこわばる代物だ。だが麗菜さんの話を聞いたあとでは、誠意に呼応して助け合って生きていく人々の姿にも見えて、少し微笑ましい。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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