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牛丼市場は“御三家”がシェア80%以上。メニュー多角化を進める吉野家の「狙い」とは

日刊SPA! / 2024年6月30日 8時52分

 また、牛丼に特化したことで、牛肉の仕入れにおいてスケールメリットを発揮して原価を低減(安い)。飲食店で費用の大部分を占めるFL(原価+人件費)コストを抑制した最適なビジネスモデルを確立した。2000年のデフレ時、280円だった吉野家の牛丼は安さが際立った(現在は468円税込)。

 輸入停止前は、主要食材である米国産ショートプレート(ばら肉)は1Kgあたり60円で100g使用し、玉ねぎ、調味料を合わせても約80円の原価。売価300円でも原価28%程度だったようだ。それを高回転で販売していたと考えると、吉野家にとって看板商品であり、ドル箱商品でもあったのである。

 より美味しい牛丼づくりと、その美味しさを維持するための体制も確立されている(うまい)。使用食材の品質や安全は当然のこと、世の中や顧客の嗜好の変化に対しても、変えるものと変えないものを明確にし、顧客に長く愛される牛丼になっていた。まさに牛丼を日本の食生活に浸透させた立役者でもある。

◆外食業界の模範だったノウハウ

 吉野家は経営効率が高い模範企業として、外食業界で紹介されており、店長の年収の高さは群を抜いていた。そのため、吉野家の経営を見習おうという企業も多かった。店のお昼のピーク時間帯は、大量に来店する客を効率的に捌くための効率的な仕組みも確立されていて勉強になった。

 徹底した事前の段取りと、それを実現するための、ムリ・ムダ・ムラを排除した什器・厨房機器の配置や作業手順、ワンオペを可能にし、スタッフの肉体負担を軽減させた作業動線の短縮化と効率化重視のレイアウトは大いに学びがあったと思う。

 今も進化を続けており、調理ロボット(味噌汁・ごはん盛り付け)を効果的に活用し、調理場内の人とロボットの協働体系が確立され、料理提供がさらにスムーズになっている。こういった工程分析と作業研究(動作研究と時間研究)から確立された作業の標準化で、安くて美味しい料理を早く提供できるようになったのだ。

◆米国産牛肉の輸入停止で経営危機に

 2004年に発生したBSE問題の前は、日本はアメリカにとって最も牛肉を買ってくれる上得意様であった。そのため、米国パッカーは日本国民の嗜好に合わせた日本仕様で、穀物肥育の牛を輸出してくれていた。しかし、2003年12月24日にアメリカでBSEの疑いのある牛が発見され、日本は即座にアメリカ産牛肉の輸入を停止した。

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