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日本が「宇宙予算へと政府資金を投入すべき」理由。10年間で1兆円でも足りない

日刊SPA! / 2024年7月2日 8時51分

◆10年間で1兆円の資金。だが、アメリカには遠く及ばない

日本の宇宙開発は、1955年のペンシルロケット発射実験を起点とするならば、1990年までが「創生と成長」、スーパー301から中央官庁統合、宇宙三機関統合によるJAXA発足を経て、2008年の宇宙基本法制定までが「停滞と混乱」、宇宙基本法制定から内閣府を中心とした体制の発足と宇宙利用の推進を「利用への傾斜と技術開発の停滞・遅滞」、と3期に分けることができるだろう。

私は、この「宇宙戦略基金」によって、新たな第4期が始まると考える。第4期にキャッチフレーズを付けるなら「民間宇宙活動の増加」であろうか。

あるいはそう名付けるのは早計かもしれない。10年で総額1兆円という額は一見大きいが、アメリカ政府が宇宙分野に出している補助金に比べると、相変わらず小さい。

◆日本はもっと宇宙予算へと政府資金を投入すべき

1980年代以降、日本の宇宙予算は、おおよそNASAの1/10、かつアメリカの場合ほぼNASAと同額を安全保障分野でも支出しているので、予算総額では1/20という状態が続いてきた。

補助金額で比較しても、スペースXが、アメリカ主導の有人月面着陸計画「アルテミス」の月着陸機「Human Landing System(HLS)」の開発で受け取る補助金はそれだけで35億ドルである。宇宙戦略基金の第1期分の総額を軽く超えるのだ。

日本の宇宙開発は、この絶望的に大きな政府投資の差をひっくり返さねばならない。
「ここまで差があると、ひっくり返すのは無理だ」という意見も出てくるだろう。が、まずひっくり返す意志を持たないことには、そもそも追いつくことすら覚束ない。1955年以来、日本の宇宙開発は「追いつけ追い越せ」で走ってきた。1990年頃、一瞬追いついたかに見えた時期があった。が、2024年の現在、また「追いつき追い越せ」で走らねばならない状況にある。

ではどうしたらいいのか。

◆「火星に人類文化のバックアップを作る」というイーロン・マスクの野望

彼を知り己を知れば百戦殆からず――は孫子の兵法だが、まず2002年の起業から20年余りで世界の宇宙開発を根本からひっくり返すまでになったスペースXがどのような企業かを理解する必要がある。

スペースXは普通に考えるような営利企業ではない。
同社のトップに立つイーロン・マスクは経営者ではなく預言者だ。別の言い方をすれば「狂気の人」である。彼には彼にしか見えない確たるビジョンがあり、そのビジョンを実現する手段がスペースXなのである。

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