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「赤黒の全身刺青」と「世界最大の軟骨ピアス」…超個性派の古物商が思う「日本社会への違和感」

日刊SPA! / 2024年7月3日 8時53分

「基本的に街を歩くときは、鏡やガラスに映る自分の姿がどうかを気にしているので、他人の言葉はあまり入ってきません。面白いのは、僕に話しかけてくる初対面の人の多くは、だいたい刺青か軟骨ピアスのことを話題にするんです。ちょっとした統計を取っているのですが、やや傾向めいたものもあるなと最近わかってきました。僕は分析するのが好きなんでしょうね、きっと」

 特に日本において根強い刺青への拒絶感についても、大黒堂氏はこんな風に分析する。

「よく用いられる文言に『親からもらった身体を大切にしろ』というものがありますよね。しかし親からもらった身体を食品添加物や着色料にまみれた食事で満たすのは批判の対象にならないのに、刺青だけは批判を超えて誹謗中傷してもいいという雰囲気が醸成されているのは疑問だなと感じます」

◆「刺青のコメンテイター」が日本にいないからこそ…

 決してブレることのない自身の考え方を持ち、今なお刺青も中身も“進化中”と語る大黒堂氏には、次なる目標がある。

「今年11月に『The Allstars Tatoo Convention』という世界的なイベントがアメリカ合衆国マイアミ州で行われるのですが、そこにスペシャルゲストとして招待されています。当面の目標は、海外においても発信できる足がかりをつくりたいと考えています。私の軟骨ピアスは世界で最も大きなものだと思っているので、ギネス申請をして認められて、身体改造の分野でも発言できる存在になれたらと思っています。現在、日本においては文化人の枠で発言をする刺青のコメンテイターなどはいないので、あらゆる問題について自分自身の考え方をお話する機会が今後増えていけばいいなと考えているところです」

 世の中は「オリジナリティを持て」「個性を大切に」と喧伝するが、一方で目立った者たちを嘲り笑い、容赦なく負の感情の沼へ引きずり込む。石を投げる人間と投げられる人間は二極化し、誰が投げたか知るすべは少ない。

 異形なるがゆえに人から話しかけられ、その繰り返しによって大黒堂氏が相手の魂胆をほぼ正確に見抜けるまでになったのは、なんとも興味深い。もはや一方的に石を投げられるだけの存在ではあり得ない。だがそれすらどうでもいいほどに、大黒堂氏は誰も見たことのない自分への“進化”を夢見て邁進する。常に発展途上。完成はしない。それでも高みを目指して、一歩を踏み込む。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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