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石丸伸二氏はなぜ蓮舫氏に勝ったのか?都知事選で激的に変わった“戦い方”

日刊SPA! / 2024年7月9日 8時45分

◆1日約10回の街頭演説。小池・蓮舫より遥かに多かった

がっかりするのは早い。票を伸ばす可能性は十分あると見た。
「注目すべき点が一つあります。石丸はネット戦術だけじゃないんです。実は街頭演説にものすごく力を入れている。小池や蓮舫よりはるかに多いんですよ。1日10か所くらいやってます。これはただ事じゃない。相当なパワーと熱量がいることです。バーチャルとリアルをミックスした、まったく新しい選挙戦術ですね。これが、ネットでつかんだ支持を現実の投票へと結びつける効果があるのかどうか、そこが一番のポイントだと思います」

……結果は、ご存じの通り。石丸は165万8363票を獲得。蓮舫を上回り、当選した小池に次ぐ堂々の2位につけた。NHKの出口調査を見ると、石丸は無党派層の30%あまりから支持を受けている。10代20代といった若い年齢層では40%余りと圧倒的多数の支持を集めた。普段投票にあまり行かないと言われる人々の票を、石丸は見事に掘り起こした。

◆今後の選挙戦は劇的に変わる

石丸については、その言動に危うさを指摘する声がある。敵を設定して徹底的に叩く手法は、かつての大阪維新の会の橋下徹を彷彿とさせると受け止める人も多いようだ。地元・広島のテレビ局が彼を描いたドキュメンタリー『#つぶやき市長と議会のオキテ【劇場版】』を見る限り、そう感じられる部分は確かにある。この映画について私は記事を書き、石丸の手法を「大人の態度」で振舞えない「子供の喧嘩」だと表現した。

一方で石丸は「政治家というものは公に議論をしなくちゃいけない」と発言している。役所と議会が陰でコソコソ話を付けて結論を出すような政治をやめて、みんなに見えるところで議論して決めるべきだ。だからXでの“つぶやき”やYouTubeを駆使してどんどん発信する。つまり「政治の見える化」をめざした。それが、古い根回し政治に慣れた旧来の勢力との対峙を招いた面もあるだろう。

これをさらにバージョンアップさせたのが今回の都知事選だったと言える。ネットとリアルを組み合わせた戦術で、無党派層や若い世代を現実の投票行動につなげた。政策の中身や政治手法は別にして、「政治を自分ごととしてとらえる」人々を新たに生み出した。世代間対立をあおった側面もあるが、若い世代の政治的“覚醒”は石丸の最大の功績だ。誰も手を付けられなかったことを、彼は短期間に一人でやり遂げた。彼が示した新たな手法は、選挙必勝の“掟”として今後の選挙戦を劇的に変えるだろう。

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