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“毎年20億円”税金を投入する札幌ドーム。「収支」や「命名権」よりも「十分な説明を果たすべき」問題が

日刊SPA! / 2024年7月11日 8時53分

 市債の償還と保全費用で、毎年20億円近い税金を投入していることになります。これは施設を立ち上げた時点で、半ば運命づけられていたと考えるべきでしょう。

◆「市民文化の向上」や「地域経済の活性化」が目的だからこそ…

 ポイントは毎年20億円の税金を投じて、何の意味があるのかということ。札幌ドーム条例の第1条にはこのようにあります。

<本市は、内外の優れたスポーツ、展示会その他の催物の開催の場を提供すること等により、スポーツの普及振興及び市民文化の向上並びに地域経済の活性化に寄与するため、札幌市豊平区羊ケ丘に札幌ドームを設置する。>(札幌市「札幌ドーム条例」より)

 つまり、このドームは札幌市の収益ではなく、市民文化の向上や地域経済の活性化に寄与することが目的なのです。その観点からすると、札幌ドームが赤字であるという批判はやや的外れ。

◆アマチュアスポーツ大会の開催数に「変化がない」

 札幌ドームは「管理運営業務計画書」において、2028年3月31日までの運営方針や計画を出しています。その中で、市民参加型イベントやアマチュアスポーツイベントの開催に力を入れるとしています。この活動はまさに目的に沿ったものだと言えます。

 しかし、実績が伴いません。

 2024年3月期のアマチュアスポーツ大会の利用日数は20日。目標は23日でした。目標未達。日本ハムが移転する前の2019年3月期は18日。野球の試合を支障なく行うためには、予備日や設営・撤去日などの必要になるため、アマチュアイベントの開催には制限が出るでしょう。

 とはいえ、現在は比較的自由に施設を使えるはず。それにもかかわらず、目標未達のうえに開催日数は日ハムが本拠地にしていた時期とほとんど変らないのです。

 草野球やサッカー練習場、トレーニングルームの市民の利用者数を見ると、2019年3月期が5万4000人、2024年3月期が5万8000人でした。やはり大きな違いはありません。

 札幌ドームのそもそもの目的に立ち返り、市民文化の向上という観点で見ても、運営会社の取り組みは十分だと言えるでしょう。

◆肝心の「稼働率」が目標を大きく下回る状況に…

 次に地域経済の活性化という点ではどうでしょうか。その柱となるのは、はやり大型のイベント、コンサートでしょう。数万人の観客を集めることができれば、周辺の飲食店や宿泊施設、公共交通機関、設営を行う人員などへの経済効果があるためです。

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