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焼肉業界“閉店ラッシュ”の中で「焼肉きんぐ」「牛角」2大食べ放題チェーンが堅調である理由

日刊SPA! / 2024年7月21日 8時54分

 焼肉に限らず、外食店はイニシャルコストとランニングコストの低減に力点を置き、投資回収速度を早める計画を策定する。しかし、現在の資材や厨房設備など出店コストが高騰する中で、値上げが思うようにできず、経営はより厳しさを増しているのが実情だ。

◆食べ放題を導入するメリット

 焼肉食べ放題は客単価も高く、店側も一定の利益を確保した上で安心して提供できる。お客さん側も会計が最初に決まっているから、いくらになるか心配することなくお腹いっぱい食べられる。オペレーションも単純・標準化・専門化でき、コックレス化によって人件費などの運営負担も軽減できる。

 メニューに関してもセントラルキッチンである程度の加工をしていれば、店のアルバイトでも十分に対応が可能で、運営しやすい。注文されるメニューもパターン化しており、商品管理や在庫管理も容易だ。タレ変・素材変などでバリエーションを豊かにし、選択肢の多さという魅力をアピールしている。

 一方で、高級和牛や専門性の高い一品料理を提供する焼肉店は、高いお金をもらう以上、それ相当の職人が必要となり、人件費も高くなるから、売上が上がればいいが、なければその固定費で経営負担が大きい。

 一般的に焼肉食べ放題の費用構造は原価38%、人件費22%、業務費、12%、管理費20%、営業利益8%の店が平均だ。重点管理費用は当然に原材料費と人件費であり、これらFLコストを徹底的に管理すれば、儲けが出る。

◆注文してくれると有難いメニューは?

 食べ放題の品目の中でも、原価10%の商品もあれば70%の商品もある。メインの焼肉の中でも上牛タン、ロース、カルビは歩留まり率が低い。ハラミなどは原価が高く、これらに集中すれば店は収益的に苦しい。特に希少部位である牛タンは上価格帯の食べ放題でしか入れられないのが現状だ。

 高原価の肉ばかり食べられると原価が高騰するから、他の一品メニューに分散させて原価率の安定に努める。ホルモン、キムチ、サラダ、わかめスープなどの低原価商品に誘導し、標準原価である38%程度を維持したいもの。そうやって、店もお客さんも双方が満足する良好な関係を維持しなければ店の存続は厳しい。

 実際にお客さんだって、いくら焼肉の食べ放題を注文して、食べまくろうと気合を入れても、肉ばかりはそんなに食べられるものではない。また、和牛や国産牛を入れた上焼肉プランは店の儲けが一段と違う。上肉の証である霜降り肉は脂でしつこくなるから、量を食べられず、すぐにダウンしてしまう。

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