東大卒の25歳男性が農業に可能性を感じたワケ。「いつまで経っても低い“農家の収入”を打開したい」
日刊SPA! / 2024年7月26日 8時51分
◆「販路を確保する」ことの重要性
――米利休さんの目からご覧になって、農業に対する課題と期待はどのようなところでしょうか?
米利休:多くの農家さんからみれば、私は昨日今日始めたようなひよっこの新参者です。しかし新参者だからこそ、わかることもあります。農業で収益を上げるのが難しい理由としては、作物を育てるという作業が非常に繊細な作業であり、管理に多くの時間を要するためにそれ以外のことに時間を割けないという事実があります。そうなると作るので精一杯で、販路を確保できません。だから農協や業者にお世話になる必要があるわけです。
しかし、それでは収入がいつまで経っても低いままです。これを打開する必要があると私は思っています。新参者である私の戦い方としては、生産者から消費者に直接届けられるシステムを自力で構築することです。翻って期待感もあります。日本のものづくりのレベルが全体的に高いことは有名ですが、主食であるお米の品質に関して非常に厳しく管理されています。
どこに出しても恥ずかしくないお米を日本の農家が担ってることは疑いようがなく、それをアピールさえできれば、もっと収入面でも豊かになれるのだと思います。よい商品を作って国民の「食」を支えることができ、かつ自分たちが経済的にも安定する未来は、幸福なのではないかと私は期待しています。
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日本人と米は切り離せない。だが、活力を与えてくれたはずの米の生産者が疲弊している皮肉。思慮深く、流行に合わせてコンテンツを作れる機敏な“新参者”の出現は、ほかの農業従事者にとっても福音となろう。テクノロジーばかりに頼らず、自らも土にまみれる愚直さもいい。連綿と続く家業を絶やさぬよう、懸命に知恵を振り絞る泥臭いインテリに救世主をみた。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
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