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“テレビから消えた”ウーマン・村本大輔。ニューヨークに拠点を移した今、日本に思うこと

日刊SPA! / 2024年7月30日 8時52分

◆社会風刺のエンタメがもたらすもの

――それはなぜだと思いますか?

村本:例えば、アメリカではラッパーやアーティストが政治や社会を批判しているので、自然と触れる機会も多いし、それを語ることがカッコいい、という風潮があると思います。

 僕がアメリカに行くきっかけになった、憧れているコメディアンのジョージ・カーリンという人がいるのですが、昨日、パックンと話した時に彼の話が出ました。パックンは高校生のときに見ていたそうです。

 中高生の時から彼の話をテレビで見ていたらやはり自然と政治への関心は高まると思います。日本のテレビは、例えば「朝生」もそうですが、「高齢者が高齢者向けに怒っている番組」で、若い人は置いてけぼりです。

 アメリカではコロンビア大学やイエール大学ではイスラエルに対して抗議のデモをしています。この前はトロント大学に行きましたが、みんな抗議している。日本にも一部、そういう学生はいますが、本当にごくわずかです。

 シカゴ大学の先生が言っていたのは、アメリカの若者には未来を変えようというエネルギーを感じられるけど、日本の学生からはそのエネルギーを全く感じられないという話をしていました。

◆未成熟な日本の社会

――やはり、日常生活で、政治の話をすることがある意味タブーになっている風潮があることから、関心が薄いのでしょうか。

村本:僕も未来を変えるエネルギーがなかった1人なので、偉そうなこと言えないですけど、社会が成熟していれば、普段から世間話だけではなく政治の話もすると思います。

 そうやって「こんな問題あるんだね」と普段から話していると、それを歌やコメディにする人も出て来てみんなに伝わっていく。それで、社会が成熟していくのではないでしょうか。

 そうすると、次はやり方の話になります。沖縄の辺野古で、座り込みしてる人たちは、何十年もずっとあそこにいて、非暴力で運動をずっとし続けている。沖縄のプロテスト(抵抗)はプロフェッショナルです。

 ところが、東京でパレスチナ問題について、最近関心を持って活動に参加し始めた人は、すぐにシャウトしたり、排他的になったり暴力的になったりする人もいます。日本の社会ではプロテストの方法も成熟していない。社会が成熟すれば、おのずとかっこいいやり方を選ぶのではないでしょうか。

 また、自分の主張をするときに、社会が成熟していないせいか「バズればいい」みたいな風潮がある。そこには何の美学も哲学もありません。そういう風潮をみんなで作ったツケがあの空っぽの選挙のポスター(都知事選のN党のポスター)です。

<取材・文/熊野雅恵 撮影/萩原美寛>

【村本大輔】
1980年、福井県生まれ。2008年9月に中川パラダイスとお笑いコンビ「ウーマンラッシュアワー」を結成。2011年「ABCお笑い新人グランプリ」最優秀新人賞を獲得、2013年「第43回NHK上方漫才コンテスト」「THE MANZAI 2013」で優勝を果たす。2023年にアーティストビザを取得し、2024年より「世界的なコメディアンになる」と宣言し、活動の拠点をアメリカに移している。講演会やスタンダップ・コメディのライブといった活動を積極的に行っている

【熊野雅恵】
ライター、合同会社インディペンデントフィルム代表社員。阪南大学経済学部非常勤講師、行政書士。早稲田大学法学部卒業。行政書士としてクリエイターや起業家のサポートをする傍ら、映画、電子書籍製作にも関わる。

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