“退職金3000万円”で早期退職した55歳男性の悲しい末路。念願のキッチンカーを始めるつもりが「熟年離婚」の危機に…

　吉村さんは、イタリア製のワゴンをカスタムしたおしゃれな外装に、食材も産地直送品を使うというこだわりのキッチンカーが理想でした。ただ、それ以外にも必要なアイテムは多数あり、徐々に不安を感じるようになっていきます。

◆気になり出した妻の鋭い指摘

　普段はあまり口出ししない妻から計画の詳細を見せるように迫られた吉村さん。あまりにも浮き足立った夫の無計画さにしびれを切らしたようです。

「妻には開口一番文句を言われました。私にも意見はありましたが、計画内容を提示したところ、冷静な口調で大胆な方向転換を提案されました。結局、キッチンカーはトヨタのタウンエースの中古になり、メニューは当初冷凍食品の簡易調理とするなど、当初描いていた雰囲気には程遠いスタートになりそうです」

　さらに、吉村さんの妻は、夫に何も言わずに自宅にあった金目になりそうな物品を次から次へとフリマサイトに出品していったそうです。その中には、0.5カラットの婚約指輪まであったといいます。

「正直言って、婚約指輪が出品されていたのを見てショックでした。あれは私への当てつけなんですかね……。でも、妻の言っていることの方がどう考えても正しいです。だから、余計に悶々としてしまって」

◆長年の夫婦仲に亀裂が

　一方的に自分の理想が曲げられていく現状に、それが正論だとも思いつつ、長い目で見て妥協はよくないと判断し、なるべく言葉を選びつつ本音を打ち明けたといいます。すると、妻の口からは想像を絶する言葉が返ってきました。

「いい加減にしてよ！ あなたの長年の夢だと言うから、どうにかして叶えてあげようと思って散々協力してきたじゃない！ なのにあなたはずっとそんな無計画なことばかり言って！ そもそもこんなに予算が足りないのは誰のせい？ あなたのせいじゃない？」

　ずっとしおらしい妻だと思っていた吉村さんだったが、正直なところこれほどの豹変ぶりには驚いたといいます。

「妻の言動は間違っていないと思います。でも、出会った頃の妻はこんなんじゃなかった。たぶん、仕事の都合で寄り添う時間も少なかったから、お互いに良い部分しか見えていなかったんじゃないかな」

　キッチンカーの計画は頓挫し、それどころか「熟年離婚」という新たな問題に直面しているそうです。

＜TEXT／ベルクちゃん＞

【ベルクちゃん】
愛犬ベルクちゃんと暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営