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“厳格な家で育った女性”が、顔に刺青を入れ「一度だけ後悔した」理由。「妖精に近づくため」身体改造も

日刊SPA! / 2024年8月2日 8時54分

 なつおさんが赤裸々に自らの変身の過程を公開したのには、こんな意図がある。

「もしも何らかの理由で現状の自分に満足できない人がいたとして、見た目を変えることによって内面が充実するのだとしたら、『いつでもなりたい自分に変身できる』という選択肢があることは、幾ばくかの心の余裕になると思うんです。私のような人間の存在が、思い留まる場合であっても背中を押す場合であっても、参考になればいいなとは思います」

◆男女ともに交際経験がある

 人間とは次元を異にする妖精に焦がれたなつおさんは、恋愛においても男女を隔てない。

「好きになるとき、性別はあまり考えません。これまで男性とも女性ともお付き合いしたことがあります。高校時代から専門学校時代は、女性と交際していましたね。美容系の専門学校に通っていたので女子生徒が圧倒的に多く、当時のパートナー(女性)に悪いので交友関係にはとても気を使いました。それがもとでだんだん専門学校へも足が遠のいて、中退してしまうのですが」

 愛ゆえの嫉妬。恋愛における普遍的な悩みを経験していると知ると、その神秘的な容姿ががぜん親近感を帯びる。くわえて、こんな生活感も顔をのぞかせる。

「専門学校以降は独り暮しをしていたので、刺青を彫ったり美容整形をしたりで出費も多く、生計を立てるのは割とたいへんでした。主な収入はBar店員で、たまに刺青モデルとしての収入もありました。長時間働いてるのでいつも疲れていて、両親からも『なんでそんな疲れてるんだ』とか心配されたりして(笑)」

◆35歳くらいまでに“完成形”に近づけたい

 幼い頃に憧れた妖精。その姿に近づくことに腐心するなつおさんはこんな青写真を描く。

「妖精になりたくて、一歩近づけたと思った瞬間に、また離れてしまったような感覚になり……の繰り返しです。身体にはまだ墨の入っていない部分も多いので、35歳くらいまでにもう少し完成形に近づけたいなと思っています。刺青で覆われた私の身体は、『好き』を集めた延長線上にあるんです。生活の糧についてもしっかり考えています。実は近日中に、大阪府で自分のBarを開業する予定です。日常に疲れた多くの人が憩う場所を作りながら、自分が理想とする形に近づけるように踏み出していくつもりです」

 なつおさんが醸す雰囲気は不思議だ。神々しくも、近しくも感じさせる。1つの身体に神秘と普通が同居しながら、バランスを欠かない。それはきっと彼女が、他者への配慮を手放さなかったからだろう。生まれた姿と決別しても、携わってくれた人たちとは決別しない。他人は見た目で判断するかもしれないが、自分は見た目に縛られない。容姿の“進化”以上に内面が成熟したからこそ、異質でありながら柔和でいられる。ぴんと上を向いたなつおさんの耳が、そんな彼女の生き方を表しているかのように感じられて、凛々しく思える。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

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