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“闇スロ”で稼いだ45歳元パチプロの「その後の人生」。常連の店が摘発されて絶望の淵に…

日刊SPA! / 2024年8月2日 8時53分

 だが、30歳を過ぎてから職人の修行の毎日はツラくなかったのだろうか。

「やっぱ久々の現場仕事は体力的にキツかったね。パチプロ時代はホールもバーテンもずっと室内だから、運動不足で色白だったんだよ。もう、最初の2ヵ月は本当にキツかった。若いヤツから『加藤さん休んでてください。ペンキ、持ちますから』って言われて、情けねぇなぁ、オレ……って。でも、内装っていう仕事が合ってたし、社長や若いコたちもすごく仲いいし居心地よくて、結局8年くらいお世話になった」

◆パチンコ・パチスロが大好きだからヤメられた!?

 ツラくてもパチプロには戻ることなく続けられたのは、周囲との関係性だけでなく、自身のパチンコ・パチスロに対するスタンスだったと加藤さんは振り返る。

「基本的にパチンコ、パチスロが大好きなんだよね。ゴリゴリに立ち回ってお金を稼ぐためだけに打ってたら、たぶん職人仕事なんて『割に合わねぇ!』って投げ出してたと思う。でも、基本が『好きだから打つ』っていうスタイルだったから、仕事帰りや休みの日に打てればいいやって。むしろ昔よりも短い時間しか打てないから、逆にシビアに打ってるよ。やっぱ負けたくないしね(笑)」

 現在は独立もして、仕事も順調だという加藤さん。最近の悩みは人手不足でパチンコが打てないことだとか。

「コロナとかもいろいろあったけど、なんとかやってる。最近、九州は移住者が多くて内装の仕事がすごく増えたんだよ。今週は宮崎、来週は熊本みたいに飛び回ってる。でも、若いヤツがまったくもって雇えないから、全部自分でやんなきゃいけないのはキツい。オレらの頃って中退したヤンキーとかってだいたい建築関係で肉体労働やったもんだけど、最近はヤンキーがいなくなっちまったから若い労働力が足りないんだよね。だから、仕事ばっかで休みもねぇから嫁や子供から嫌味を言われて肩身が狭い(笑)。パチンコ打ちに行くなんてもってのほかだよ」

◆パチプロの成功体験が今を支える

 パチンコ・パチスロだけで食っていけたことは羨ましい話ではあるが、加藤さんは「自分は本当に恵まれてただけ」と謙遜する。

「よく、パチンコ打って暮らすなんていいなぁ〜って言われるけど、スロプロなんかは23時の閉店時に状況をチェックしなきゃいけないし、朝は9時とかに抽選受けなきゃいけないから、実質的には14時間労働くらいじゃないかな。そこまでやっても高設定取れなかったら日当出ないからね。期待値は追い続けたら最後、勝つまで打ち切る忍耐力とカネが必要になる。オレ、高校中退してやりたい放題してきたけど、ずっと努力してきた、頑張ってきたって自負してるんだよ。じゃなきゃ、パチンコ・パチスロは勝ち続けることなんてできないって。勝つための立ち回りを徹底することって、半端な努力じゃなかったもんな」

 筆者はこれまで何人も元パチプロに話を聞いてきたが、今の生活が苦しくても、プロ時代のことを後悔している人は意外に少ないように感じていた。だが、ここまで肯定的にプロ時代のことを振り返ったのは、加藤さんが初めてである。

取材・文/谷本ススム

【谷本ススム】
グルメ、カルチャー、ギャンブルまで、面白いと思ったらとことん突っ走って取材するフットワークの軽さが売り。業界紙、週刊誌を経て、気がつけば今に至る40代ライター

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