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手取り15万円、ブラック職場…半年以内に1割が辞める「定年自衛官」のキツすぎる再就職事情

日刊SPA! / 2024年8月4日 8時53分

 また、陸曹クラスで、職務ではパソコンに触ったことがないという人もいます。その点、警備員ですと、前職と同じく制服を着て、何か危険なことがあったら真っ先に力になるという共通点があり、心理的な抵抗も少ない面もあります。ほかには、物流や介護の世界に進む人も増えています。人手不足なので、企業側からのニーズが非常に高いです。北海道だと農業のニーズも高まっています」

◆損保業界では示談交渉役として重宝

 松田さんの話を聞いて、さらに意外性があったのは、幹部では損害保険会社に行く人も少なくないという点であった。

「交通事故でけが人が出た場合、示談交渉の役回りで重宝されます。当事者はともすれば感情的になっているので、現役時代に培った忍耐力や合理的思考が活きてくるのですね。何が正しくて、何が正しくないのかを判断して、押し通す力量が元自衛官にはあると、損保業界では定評があるのです。

 社内で先輩格にあたる元自衛官からの教育システムが確立されているのも、結構大きいポイントだと思います。それで安心して就職しやすいのです」

◆再就職では苦労する戦闘機パイロット

 ひと口に自衛官と言っても、陸、海、空があり、さらに細かく職種が分かれている。出自によって、再就職先が広がることもあれば、限定されることもあり、明暗は分かれるようだ。

「空自では花形職種である戦闘機パイロットは、民間では活かしにくく苦労することがあるようです。自衛隊の輸送機を操縦したのであれば、民間の輸送機パイロット、ヘリコプターであれば、民間のヘリパイロットの道が開けています。でも戦闘機を操縦できるスキルは、つぶしがなかなかききません」

◆安い給料で退職する元自衛官は少なくない

 人口減少が進む地方は、求人の絶対数がそもそも少ない。そのため、援護協会の力添えがあったとしても、待遇面で不本意な就職が起きやすいという。松田さんは、東北の地方銀行で、自衛官相手の営業職に就いた人の例を挙げる。

「その方は、50代半ばにして名刺の受け渡しの仕方から始めて、一人前になるべく頑張りました。でも、給料は手取りで15万円くらい。住宅ローンなど抱えている立場で、これは厳しすぎました。結局、彼は退職してしまいます。退職自衛官の平均月収は20万円台の前半です。30万円を超えるのは少数派で、20万円を切る人のほうが多いくらいです。

 定年時に、通常の退職金に加えて若年定年退職給付金がもらえるので、一部の雇用する側が『給料は安くてもいいだろう』と、足元を見ている可能性も否めません」

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