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フワちゃん炎上から「義務教育の敗北」を感じる東大生。ネット民が『羅生門』から学ぶべきこと

日刊SPA! / 2024年8月11日 15時53分

 これを聞いた下人は、「それならば、自分が悪人である老婆から盗みを働いても、文句は言われないはずだ。それに、自分だってそうしないと、明日にも飢えて死んでしまう」と考え、老婆の持ち物をはぎ取り、夜の闇の中に消えていってしまいました。

◆『羅生門』が教科書に載っている理由

 ここから読み取れるのは、人間の意識のうつろいやすさです。物語冒頭では、悪として生きるか、善として死ぬか、選び取れなかった下人ですが、中盤では、突如正義の意志に目覚めて、老婆を押し倒しました。

 しかし、老婆の身勝手な理論を聞いた途端に、「それなら自分も」と、あっけなく悪の道に堕ちてしまった。

 私は、わざわざこの話が指導要領に入っている理由が「人間は、たった一つの安易なきっかけで悪にも善にも染まる移ろいやすい生き物だ」と教えたいからのような気がしてなりません。

 人間の意識、善悪観の微妙さ、はかなさ、そして当てにならないことを、学生のうちに教えたいから、カリキュラムに組み込まれているのではないでしょうか。

◆叩く人は「悪に堕ちた下人」と同じ

 そう考えて今回のフワちゃん炎上事件をみてみると、世の人々はまったく何も学んでいないことがうかがえます。

「この女は、インターネットで暴言を吐くような悪いことをしたのだ。それを叩く我々は正義なのだ」と、身勝手な論理を振りかざし、加害者を苛め抜く姿は、さながら悪に堕ちた下人のようです。

 行為だけを見ると、明らかに悪の行いであるにもかかわらず、理由だけで自らを正当化して、叩きに叩いている。これを義務教育の敗北(現在は高校生の履修範囲になっているようですが)と言わずして、なんといえばいいのでしょうか。

 今回の炎上に関わらず、芸能人やタレントの不祥事となると、目の色を変えて叩きまくる人もいます。きっと、自らの行いを「善なる行い」だと勘違いしているのでしょうが、そういった方は、もう一度中学生の国語の教科書に載っているような作品から、道徳を学びなおした方がいいのかもしれません。

<文/布施川天馬>

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

―[貧困東大生・布施川天馬]―

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