1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

フィリピンの水上スラムで“救われた”28歳男性の恩返し。今では「日本人を歓迎してくれる環境」に

日刊SPA! / 2024年8月16日 8時51分

「村の人には『ずっとこのまま住ないか』と言われもしたんですが、セブ島滞在後は、他国で暮らすことが決まっていましたし、そもそも民族の村のなかで日本人が暮らすのは、長い目で見て現実的ではないと思っていました。ただ、セブ島から離れても、できる限り彼らをサポートしたい思い、バジャウ族の友人や村長と話すなかで、バジャウ族運営によるゲストハウスを開くことを決めました」

 村長と村民と話し合いを重ね、けいすけさんが不在でも回せるように、運営の仕組みを練った。クラウドファンディングで集めた35万6000円と自己資金を合わせ、約100万円かけて、昨年10月からゲストハウスの運営をスタートさせた。

 ゲストハウスは、伝統的な水上住宅に、個室とドミトリーの部屋を設け、冷蔵庫や簡易キッチンもある。村で唯一の洋式トイレや防犯カメラも設置し、衛生面や安全面にはこだわった。

◆双方にとってプラスになる仕組みを作った

宿泊スペースだけでなく、コミュニティスペースを設けたのには、わけがあった。

「村には一応、入村料300ペソ(日本円で約800円)の仕組みがあるんですよ。でも、訪問者が来たとしても誰も彼らを案内をしないんです。せっかく日本人がきてもウロウロして終わりになっていて、機会損失だと感じていました。そこで、休憩場のような場をつくることで、入村料の案内をスムーズにしました。訪問者にとっても、宿泊せずとも、バジャウ族と交流できたり、モリやゴーグルなどの道具を目にすることができて、充実した体験ができます」

「コミュニケーションが取れる場所」の波及効果は大きいという。

「商売の機会になるんです。バジャウ族の仕事の一つに、真珠やアクセサリー、バジャウパンツと呼ばれる衣服の販売があります。基本的には観光地に出向いて路上で売ってるんですけど、いきなり道端で言われても抵抗あるじゃないですか。でも、こうしたコミュニケーションが取れる場所があれば、真珠を売るきっかけができる。訪問者が交流ができて、バジャウ族も収入をえられるような場所があれば、お互いにとっていいなと」

◆初期投資の回収は「6ヶ月〜12ヶ月以内に立つ見込み」

 集客数と売上は順調に伸びており、売上は月の最高で15万円ほどになった。バジャウ族には売り上げの約50~70%を還元している。

「現状は全然赤字ですが、初期投資の回収は6ヶ月〜12ヶ月以内に立つ見込みです」

 現在はセブ島を離れて、オーストラリアに在住していながら、SNSを中心にオンラインで集客し、バジャウ族とやりとりして運営している。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください