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「アパマンショップ」運営企業が非上場化へ。“賃貸管理業界の大再編”が起こる可能性も

日刊SPA! / 2024年8月22日 8時52分

◆管理戸数は「1年で2000近く減少」

 売上高が伸び悩んでいる主要因になっているのが、賃貸管理戸数の減少。2024年6月末時点の管理戸数は8万8260。前年から1842も減少しました。

 賃貸住宅の管理業務は差別化を図りづらく、価格競争に陥りがち。

 管理の依頼を受けるのは、ローンの出し手である金融機関や不動産物件の購入先の紹介といったケースが多く、必然的に信頼が厚い大手が有利にもなります。事実、この分野の最大手である大東建託は、2024年3月末時点の管理戸数が125万。1年で3万戸上乗せしています。

 しかも、日本銀行が金利を引き上げたことで、不動産投資の冷え込みも予想されます。賃貸物件への投資意欲が減退すれば、更なる管理戸数減少も視野に入るのです。中堅の賃貸管理事業者には逆風が吹いていると言えるでしょう。

◆子会社の再編で「事業の選択と集中」を狙う

 今回のAPAMANのMBOには大きな特徴があります。子会社の再編を行うのです。

 賃貸管理や駐車場などに関連する事業の大部分を、日本産業推進機構という投資ファンドに売却します。日本産業推進機構は独立系のPEファンド。過去にマンガ雑誌などを手掛けるぶんか社の買収、鴨川グランドホテルの非上場化の支援などを行ってきました。

 APAMANは今回のMBOで賃貸管理事業の大半を投資ファンドに手渡し、フランチャイズ加盟店のサポート業務やクラウドシステムの提供などを行うTechnology事業を引き続き運営することになります。

 Technology事業の業績は堅調。2024年9月期第3四半期の売上高は前年同期間比1.8%増の59億円、営業利益は同37.3%減の2億円でした。DX化推進による減価償却費が嵩んで減益となっているものの、売上高は堅調。2023年9月期の同事業の売上高も前期比1.7%の増加でした。今後のAPAMANは「アパマンショップ」のフランチャイズを主軸とし、DX化支援で企業価値の向上を図ります。事業の選択と集中を行うのです。

◆賃貸管理業界の大再編が起こるか?

 気になるのは日本産業推進機構が、管理戸数減少が著しい賃貸管理事業を承継した後の展開でしょう。

 投資ファンドが得意とする手法にロールアップ戦略があります。同じ事業を営む会社を次々と買収して規模を拡大。市場シェアを高める手法です。

 日本賃貸住宅新聞(「2023年管理戸数ランキング1位~50位」)によると、APAMANは17位。賃貸物件を管理している中小の会社を買収してランキング上位に食い込み、企業価値向上を図るのです。ランキングに掲載されているのは1085位まで。大東建託が120万を超えて圧倒的なシェアを握っているとはいえ、中小の賃貸管理会社は数多く存在し、ロールアップをする余地のある業界だと言えるでしょう。

 ロールアップは豊富な資金力と買収対象となった会社のオーナーを説得させる高度な交渉力、提案力が求められます。事業会社が簡単にできるものではありません。

 APAMANの非上場化は子会社の再編を含むダイナミックなものでしたが、その後も賃貸管理業界再編の兆しも持っていると言えます。

<TEXT/不破聡>

【不破聡】
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界

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