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30代でFIREを達成したのに「幸せになれなかった理由」。経験者が語る“セミリタイアの落とし穴”

日刊SPA! / 2024年8月28日 15時53分

 しかし、数か月ほどすると、徐々に異変が現れ始めます。

 何をしても、楽しくない。毎日、生きている実感が得られない……。

 気が付くと、あれほどまでに憧れていたセミリタイア生活よりも、「セミリタイアしたい」と頑張っていた日々の方が懐かしさを感じてしまうようになりました。その時点で、セミリタイア生活がほとほと嫌になっていたのだと思います。

 当時の私は、毎日のように「自分は何をしたらいいのか」と考えながら、ただフラフラと海外に行って、一見楽しそうに見える写真を撮影しては、SNSに投稿するだけの日々を続けていました。

◆目標を失ったことで人生が不幸に…

 夢のセミリタイアを実現できたのに、どうしてこんなに楽しめないのか。悩み続けた結果、その理由は、自分自身が「セミリタイアをする」という大きな目標を失ったからだと気が付いたのです。経済的な自由は得たものの、目標がなくなったことで、毎日なにを目指して生きればよいのかわからなくなっていたのでしょう。

 実際、私と同じようにセミリタイアを達成した人に会ってみても、一時は満足しても、人生の目的を見失い、以前よりも表情が暗くなった人ばかり。いまだに「セミリタイアしたいまが、人生で一番幸せ!」と笑顔で答える人には、ほぼ出会ったことがありません。

◆日々新しいことに挑戦することが本当の幸せ

 では、どうしたら自分は幸せになれるのか。それを考えるべく、私は自分の過去について振り返ってみました。すると、セミリタイアをめざして日々新しいビジネスを考えたり、自分が世の中に提供したものを喜んでもらったりしたときこそが、もっとも幸せな瞬間だったなと気が付いたのです。

「自分は、日々目標をもって、新しいことに挑戦して、人から喜ばれることが幸せなんだ」

 そう気がついた私は、再び仕事を始めるようになりました。最初は、「とはいえ、本気で仕事を始めたらしんどいよな」「やることも増えるし忙しくなるのも嫌だな」との思いがあったため、どこか本気で仕事には打ち込めていなかったように思います。

 しかし、中途半端に仕事をしても、中途半端な結果しか得られないため、なかなか楽しくなれない。「自分に負荷をかけないと、幸福感は高まらないのかもしれない」と気がついてからは、セミリタイア前よりもさらに毎日全力で仕事に打ち込むようになりました。

 また、セミリタイア前と大きく変わったのが、楽をすることに興味がなくなり、純粋に仕事を生きがいだと感じるようになったことです。昨今日本では「好きなことで生きていく」ということや「FIRE(経済的自由の実現)」といったキーワードがとても人気ですが、これは多くの方は極力自分は面倒なことをせず楽をして良い思いをしたいと思っているからです。

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