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ディズニーに続き、USJ、ジブリパークも…“高価格化”が進むテーマパークの「やむを得ない事情」

日刊SPA! / 2024年9月2日 8時53分

例えば、国内外に69の施設を持つ星野リゾートの代表である星野佳路氏は、とあるインタビューの中で明確に「これからの観光はコロナ禍前に出来なかった量から質への転換が重要だと考えています」と述べ、自社での沖縄のプロジェクトについて説明する。そこでは客単価を下げず、社員教育を徹底して、サービスを徹底させていった経緯も語られている。

◆テーマパークは「行きたい人だけが行けばいい」けど…

「量から質へ」の転換は、テーマパークのみならず、観光業全体、ひいていえば日本全体で起こっている変化なのである。

しかし、「質」を向上させるには、基本的にその施設の利用料を引き上げるしかない。観光立国推進基本計画でいわれていたように、量に頼るのではなく、一人一人の消費額を上げる方向を目指すのならば、当然それぞれの商品やサービスの単価は上がっていく。

また、テーマパークの事例でも明らかなように、「質」の向上は基本的には「チケット料金の値上げ」を意味している。イマーシブ・フォート東京が典型的なように、ゲスト一人あたりにかけるコストをあげていくことが、体験価値の向上につながっていくからだ。

テーマパークだけであればいいかもしれない。「行きたい人だけが行けばいい」といえるからだ。ただ、それが、観光業界全体で起こっているとなると、(卑近な言い方になるが)これからの観光は「金持ち」しかいけない、ということになってしまうのではないか。もちろん、これは誇張した言い方だ。さまざまな工夫で低価格の観光も実現はされていくだろう。

とはいえ、「質から量へ」のシフトは確実に現在起こっていて、「たくさん消費をさせる」方向へ社会全体が進んでいる。

テーマパークからは、日本の観光産業全体で起こる問題も見えてくるのである。

<取材・文/谷頭和希>

【谷頭和希】
ライター・作家。チェーンストアやテーマパークをテーマにした原稿を数多く執筆。一見平板に見える現代の都市空間について、独自の切り口で語る。「東洋経済オンライン」などで執筆中、文芸誌などにも多く寄稿をおこなう。著書に『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)

―[テーマパークのB面]―

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