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自民党総裁選で注目の石破茂 ×立民・ 野田佳彦が対談で語った「きちんと議論する国会を取り戻す」覚悟

日刊SPA! / 2024年9月7日 8時42分

野田:私も石破さんに対しては同じ印象を持っています。国会の議論は喧嘩別れに終わったりすることもあるのですが、石破さんとなら、お互いの主張を展開しながらも国民生活を第一に考えて、与野党関係なく一致点を見いだす議論ができた。言葉の選び方、議論の展開なども実に勉強になります。

石破:“言葉”といえば、野田さんが国会で行った安倍元総理の追悼演説は素晴らしかった。誰が国会での追悼演説を行うかは自民党内でも議論になりましたが、格も十分で、自分の言葉で語れる人でないといけない。そう考えた時に、私は野田佳彦を置いてほかにいなかったと思います。

野田:過分なお褒めの言葉をいただきました。首相として所信表明や国連演説という大きな舞台を経験しましたが、あの追悼演説が人生で最も難しい演説だったことは事実です。安倍さんとは政策が相容れないところもありましたし、「悪夢の民主党政権」などと面と向かって酷評されたこともあります。これは相当きつかったんですが、安倍さんとの間で、同じ立場を経験した人間としてのリスペクトが通い合っていたのも確かです。

◆安倍一強時代の負の遺産「きちんと議論をする文化が失われてしまった」

――共通して言葉を大事にされているお二人ですが、最近の国会についてはどのような見方をされているのでしょう?

石破:自民党内は「安倍一強」が続いた間に、きちんと議論をする文化が失われてしまったように感じています。でも我々は“代議士”ですよ。代議士というのは読んでその字の通り“(国民の)代わりに議論する士”。中傷されようとも、くじけずに議論を行う。そういう姿勢が今最も欠けている。

野田:野党の側、我が立憲民主党にも同様の問題はあります。党内議論がほとんどなく、それぞれの議員が不満を直にSNSに書き込む。これが、団結していないとの印象を強く国民に与えています。与党に対しても、何かといえばネットで拾ったネタで追及しようとする若い議員が多い。重箱の隅をつつく質問をして失言を狙うようなやり方も横行しています。街頭にも立たず、現場に足を運ばずに、ネットやSNSに張りついてばかり。結果、言葉が劣化しつつあります。野党が揚げ足取りをするからか、与党も警戒して議論のための情報を出そうとしません。これは由々しき事態ですね。

石破:国会という場は、言うまでもなく議論をするところでしょう。私が民主党政権以前に大臣として答弁に立った時には、野田さん、前原誠司さんなどが1時間半とか、まとまった時間を取って質問していました。しかも実に本質的な質問をぶつけてきて、手ごわかった。今は若手議員が、30分程度の時間で入れ代わり立ち代わり質問をしている。顔を知ってもらうことも大事だが、総理と対等に話し合いができる人が1、2時間続けて質問をし、議論を深めるスタイルに戻したほうがいい。

野田:おっしゃる通り。

当時、自民党総裁や立憲民主党代表への立候補を考えていたわけでもない2人だが、根底にある政治理念はいまも変わらないに違いない
石破 茂
1957年、鳥取県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。1986年、衆議院議員に全国最年少で初当選。防衛大臣、地方創生担当大臣、自民党幹事長などを歴任。政策通として知られ、多数の著作がある。自民党党大会前日の「屋台村」では自慢のカレーを振る舞ったことも

野田佳彦
1957年、千葉県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。松下政経塾に第一期生として入塾。千葉県議2期を経て、1993年、日本新党から衆議院議員初当選。民主党政権で財務大臣を務めたのち、’11年に第95代内閣総理大臣に就任。現在は、新千葉14区での活動が主

取材・文/梶原麻衣子 リサーチ/山本和幸 撮影/高橋慶佑 編集/近藤史章

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