圧勝した日本代表に感じる“一抹の不安”。“弱点”を突かれた場合の危うさは変わらず
日刊SPA! / 2024年9月13日 15時50分
そして、いずれの試合でも攻守の要となったのが守田英正で、状況に応じてチームに不足する役割を補完していた。三笘などドリブルでの仕掛けを得意とする選手がボールを保持した際には、奪われた直後の守備を考えたポジショニングでリスクマネージメントをしている。鎌田がボールを受けに下がってきたときには、ポジションを入れ替えて最終ラインと対峙する。さらに、ゴール前にスペースがあればそこへ飛び込み得点を狙った。前線の選手らが高い能力を発揮できたのは、守田が補完していたからといっても過言ではない。
◆「ロングボール放り込み」に対しての危うさが
このように選手個々が能力を発揮して大量得点による勝利を収めたのだが、まだ太鼓判を押せるほどではない。
まず、バーレーン戦ではアジアカップで敗戦したときと同じような攻められ方をされた時間帯があった。相手の最終ラインから対角にロングボールを放り込まれ、押し込まれるというパターンだ。バーレーンは明らかに堂安のサイドを狙ってロングボールを放り込んできていた。今回は大事に至らなかったが、それに対する対策は見られなかった。
また、中盤でのセットプレーからロングボールを放り込まれて、その流れでゴール付近まで押し込まれるというパターンも見られた。
前者のロングボールにはパスを出す選手へのプレッシャーを強めるといった方法が対策のひとつとして考えられるが、後者はフリーキックのためその対策ができない。実際に、アジアカップでも後者のパターンから失点している。
◆10月開催の試合はどう戦うべきか
対策として身長差によるミスマッチを起こさないようにマークの確認を徹底するとか、セカンドボールをしっかりと奪い取るといったことが考えられる。センターバックを3人にする3バックのシステムを採用した理由のひとつにその対策も挙げられると思うのだが、相手は明らかにミスマッチだったサイドを狙って攻略しようとしてきていた。
セットプレーであれば、マークを入れ替えてミスマッチを生じさせないようにはできるが、インプレー中はそういった対策は難しい。よって、必然的に前線のプレッシャーを強化しつつも、セカンドボールの対策が必要になってくるのだが、特にセカンドボールにおいて対策を講じているようには見えず、相手のクオリティが上がればやられてしまう危険をはらんでいる。
次の10月に戦う相手は、サウジアラビアとオーストラリアだ。ともに調子がいいとは言い難い状態ではあるが、選手個々のクオリティでいえば中国やバーレーンよりは上である。彼らがロングボールを狙ってくるのも今のところ考えにくいものの、日本対策として取り入れてくる可能性も考えられる。可能性が0でないかぎりは対策を考えておくべきで、日本代表の課題としてずっと持ち越されている問題でもある。
<TEXT/川原宏樹>
【川原宏樹】
スポーツライター。日本最大級だったサッカーの有料メディアを有するIT企業で、コンテンツ制作を行いスポーツ業界と関わり始める。そのなかで有名海外クラブとのビジネス立ち上げなどに関わる。その後サッカー専門誌「ストライカーDX」編集部を経て、独立。現在はサッカーを中心にスポーツコンテンツ制作に携わる
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