焼肉店の倒産件数が“過去最多”になったワケ。お店が増えすぎて「値上げもできない」
日刊SPA! / 2024年9月15日 8時53分
※画像はイメージです
帝国データバンクによると、焼肉店の倒産ペースが加速している。
2024年に発生した焼肉店の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は、6月までに計20件発生した。23年の同期間に比べて約2.5倍となっており、これまで最も多かった19年通年(26件)を大きく上回り、過去最多を更新することになる。
小規模個人店の閉店や廃業などを含めれば、実際はより多くの焼肉店が市場から退出したとみられる。今の焼肉業界は限られたパイの奪い合いの様相を呈しており、市場は整理縮小されつつあるのが実情だ。
◆外食の中でも敷居の高い焼肉店の苦境
7月の実質賃金が2か月連続で上昇したという明るい話題はあるが、まだまだ実感がない。TV報道によると、今、「商品・サービスの中で、最も贅沢品は?」というアンケート調査では、旅行やレジャーを抜き、外食が首位になったとのこと。
その中でも焼肉は高額だから群を抜き、超贅沢な食事の部類に該当する。先行きの生活不安から、守りに入る消費者にとって、焼肉は敷居がより一層高くなっている。
たまに行っても、食事をしている時は嬉しいが、会計時はつらい思いをする人は多いだろう。店も客離れを警戒し、僅かな値上げで済ましたり、価格据え置きで対応して踏みとどまっているが、限界に近付いているようである。
家族経営の店なら、何とか耐えられないこともないが、人を使っている個人店は継続が難しそうだ。
◆円安の影響でコストが上昇
焼肉店は出店コストが高く、初期投資の高さが重荷だ。加えて、初期投資額だけでなく、落ち着きかけてはいるが円安(143円、9月6日)の影響で、米国や豪州産などの輸入牛肉・豚肉価格の高騰、電気・ガス代、人件費、物流費など運営コストの上昇も重なっている。
物価高騰による消費者の「値上げ疲れ」もあり、店側は価格弾力性を考えながら値上げのタイミングを検討している。
こうした経営環境の悪化で、小規模な焼肉店などでは厳しい価格競争に耐え切れなくなり、淘汰されるのは時間の問題のようだ。物価高での節約志向も重なり、外食に「特別感」を求める余裕がなく外食機会も減っている。
◆増えすぎた焼肉店
焼肉の市場規模は、店舗数22,000店、年商約1兆2,000億円(2020年、日本フードサービス協会)と推計されている。
焼肉は昔から絶対的な存在感があり、ハレの場によく使われる。お祝いで連れて行って欲しい店ランキングでは常に上位だ。
この記事に関連するニュース
-
「焼肉ライク」がまさかの店舗数減。食べ放題チェーン「焼肉きんぐ」と分かれた明暗
日刊SPA! / 2024年11月22日 15時53分
-
牛肉高騰でインフレ気味の牛丼チェーンを尻目に…「かつや」「てんや」「なか卯」“和風丼チェーン”3社の現在地
日刊SPA! / 2024年11月15日 8時53分
-
飲食店の倒産が過去最多ペースに…好調な「丸亀製麵」にも気になる“3つの兆候”が
日刊SPA! / 2024年11月11日 8時52分
-
パクリと揶揄された「やっぱりステーキ」が急成長。大量閉店で打撃の「いきなり!ステーキ」と明暗分かれたワケ
日刊SPA! / 2024年10月30日 15時54分
-
”庶民の焼き肉”は風前の灯?! 焼肉店の倒産が過去最多に ”ごまかしがきかない” 円安が直撃する「焼肉店ならでは」の事情
RKB毎日放送 / 2024年10月29日 18時11分
ランキング
-
1斎藤元彦氏側が知事選で「広報全般を任された」会社に報酬支払い、SNSでは違法との指摘相次ぐ
読売新聞 / 2024年11月24日 1時20分
-
2車動き出し下敷き、71歳妻死亡 群馬の温泉旅館駐車場
共同通信 / 2024年11月24日 1時16分
-
3石破首相、日朝首脳会談に意欲「会いもせず非難しても始まらない」…家族会は「タイムリミットがある」
読売新聞 / 2024年11月23日 19時13分
-
4所持金616円でタクシーに約3時間乗車 ゴールは警察署 自称作家の女 詐欺の疑いで逮捕
STVニュース北海道 / 2024年11月24日 9時49分
-
5セブン&アイ「9兆円MBO案に潜む“危険な賭け”」。非上場で外資による買収は回避できるけど
日刊SPA! / 2024年11月24日 8時52分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください