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焼肉店の倒産件数が“過去最多”になったワケ。お店が増えすぎて「値上げもできない」

日刊SPA! / 2024年9月15日 8時53分

◆焼肉店も参戦し始めた孤食市場

 焼肉食べ放題は提供スタイルを変えながら、30年以上の歴史がある人気メニューである。店舗数で1位の牛角(全世界825店舗、2024年3月時点)や売上で1位の焼肉きんぐ(物語コーポレーション焼肉部門の売上552億円、店舗数325店舗(2024年6月時点)は話題の店だ。

 昔と比べると随分高くなったが、それでも週末は満席状態であり、中には予約も取れない店があるのも事実だ。また、最近は孤食を好む人も多くなっている。単身世帯比率も年々高まっており、そういった社会構造的な背景から、積極的に一人客を受け入れる焼肉店が増えている。

 代表的な店としては、焼肉ライク(国内93店舗、2023年4月)があるが、同じようなコンセプトの一人焼肉店をあちこちで見るようになった。2020年の国勢調査によると単身者世帯は38%で、5年前と比較すると3,4%増加しており、単身者世帯の増加で、さらに孤食市場は成長するのではと推察する。

◆新たな需要に応えて人気を得た焼肉ライク

 ファミリー客を標的顧客にしていた大手焼肉店は4人掛けテーブルが殆どの店内レイアウトだったから、一人では行きにくい。店側も客席効率を高めたかったから一人客はあまり歓迎しなかったのが実情だ。

 しかし、最近は焼肉ライクのように、一人で焼肉を食べたいといった潜在ニーズを顕在化させた店が店舗数を増やしている。焼肉は一人では入りにくいものだが、その一人客をターゲットにした小型(20坪程度)で効率の高い焼肉店の存在感が出てきた。

 孤食を好み気兼ねなく焼肉を食べたい一人焼肉の需要に応えた店づくりで、客席回転率の向上による坪当りの売上・利益を拡大させている。

 焼肉ライクが人気の理由は、①一人でも気軽に行ける焼肉屋、②自分風にカスタマイズした焼肉を、自分専用のロースターで焼ける、③周囲の目を気にすることなく、自分のペースで焼肉を堪能できる、④時間がない時でもさっと食べられる、⑤自分好みで、自分が焼いた肉を誰にも取られることなく堪能できる、⑥手軽な価格で焼肉をお腹一杯食べたいといったニーズに合致している、等である。

◆物価高・人手不足などの逆風に焼肉店はどう立ち向かうか

 最近の飲食店は、物価高・人手不足など店を取り巻く外部環境には逆風が吹いている。特に輸入肉に依存する低価格の焼肉店や食べ放題店にとっては、大きな痛手である。

 また、日本は外食慣れした人が多く、世界一、品質に対する目が厳しいからコスパ評価も手厳しい。今はSNSの普及で、お客さんの持つ情報量が多く、店側の情報優位性がなくなりつつある。

 情報武装したお客さんが多いと、店側が利益を確保する機会が減り、店の営業利益率の低下を招いている。飲食店経営の中で徹底した管理が求められる食材費や人件費が上昇する中、できるだけ価格を抑えながら経営を継続させるのは大変だ。

 店を選択する目が厳しく、価格と品質のバランスの要求水準が高いお客さんを相手に、各店がどう対応するか注視したい。

<TEXT/中村清志>

【中村清志】
飲食店支援専門の中小企業診断士・行政書士。自らも調理師免許を有し、過去には飲食店を経営。現在は中村コンサルタント事務所代表として後継者問題など、事業承継対策にも力を入れている。X(旧ツイッター):@kaisyasindan

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