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“論争”は続くが「味の素」が絶好調な理由。2年連続で「平均2.1万円以上の賃上げ」も実現

日刊SPA! / 2024年9月26日 8時53分

 消費者の間では値上げ疲れも叫ばれるようになっており、強気の値上げ攻勢は、買い控えを引き起こす懸念があります。しかし、2024年4-6月の国内の調味料は単価増に加えて数量も増加しています。

◆結局「料理に欠かせないアイテムの一つ」

 味の素という調味料は、推進派と反対派で終わりなき論争が交わされることで有名。人気の料理研究家・リュウジ氏が味の素を愛用しており、Xではそのことに対して過激な言葉を投げかけられることもしばしば。しかし、度重なる値上げをしても買い控えが起こっていない味の素の業績を見る限り、料理に欠かせないアイテムの一つとして、多くの人に支持されている様子がわかります。

 価格改定効果で好業績を叩き出すのは、デフレを脱しつつある今の日本を象徴する出来事。この好機をいかにして会社の成長に生かすかが、中長期的な成長を左右するポイントとなるでしょう。

 その点、味の素は得られた利益を巧みに活用している様子がわかります。稼いだ利益を研究開発とマーケティング、人件費に多く割いているためです。

◆稼いだ利益を成長への投資や賃金へと還元

 2024年3月期は、主に海外向け調味料・食品の単価アップの影響で、277億円の事業利益の押し上げ効果が働きました。一方、マーケティングと研究開発費が120億円増加。そのコストを含む販管費の増加が291億円の下押し要因となっています。主に値上げによって得られた利益を、成長に向けた投資に回しているのです。

 味の素は、海外の広告費をブランドへの投資と定めています。

 タイで販売する調味料「RosDee」は、シェア80%を占めており、すでに圧倒的な認知を獲得しています。それにも関わらず、2024年3月期は更に1.4%シェアを伸ばしました。70%のシェアを握るブラジルの「Sazon」も1.1%拡大しています。

 味の素は巧みなマーケティングによって、すでに圧倒的なシェアを占めるエリアにおいてさえ、単価増と販売数量増の両方を成し遂げているのです。

◆「成長事業への投資」にも積極的

 味の素は現在、ヘルスケア領域の強化を進めています。メディカルフード、再生医療用培地、核酸医薬などです。特に再生医療分野への投資を積極化しています。京都大学iPS細胞研究所と再生医療に必要な培地の共同研究を行っていました。その中で、iPS細胞の増殖や分化に欠かせない「StemFit」の開発に成功しています。

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