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袴田ひで子さん「“被告人は無罪”が神々しく聞こえました」。袴田事件裁判で現場は“お祭り状態”に

日刊SPA! / 2024年9月28日 8時48分

 そんな中、事件から1年2か月も経過した後に、なぜか工場の味噌タンクの中から新たな犯行着衣とされる「5点の衣類」が発見され、検察側はあっさりと犯行着衣を変更。のちに「5点の衣類」に付着していた血痕の色などから捜査機関の捏造の可能性が高いとして、2014年の再審開始の決定打ともなり、厚く重い「再審の扉」を開くことになった。

◆傍聴の倍率は12.6倍に!

 裁判当日の9月26日。この日の静岡市の天候は、薄曇り。気象庁によると、今年の夏は1898年に統計を取り始めてから最も暑い夏というだけに、9月下旬にもかかわらず汗ばんでしまう。

 午前9時過ぎ、筆者が到着した時点で、既に裁判所前は“お祭り騒ぎ”と化していた。上空にも傍聴希望者の行列を空撮しようとヘリが何機も飛んでいる。

 この裁判では、事前に多数の傍聴希望者が予想されていたことから、抽選式の「傍聴券」が交付されることに。裁判の開廷は午後2時だが、裁判所側は多数の傍聴希望者で列ができることを予想し、著名人の裁判と同様に、午前中に傍聴券を交付する形となった。

 午前9時20分ころ、予定開始時刻よりも前倒しで、整理券の交付が開始された。この整理券の番号をもとに、抽選して傍聴券が交付される。全国各地から“世紀の瞬間”を目撃しようと集まった人で、整理券交付の締切の午前10時まで列が途切れることがなかった。

 この日の一般傍聴席の数は40席。それでも、これまでの全15回の審理で使用された202号法廷よりも一回り大きな法廷が使用されている。裁判所によると、最終的に希望者数は502名、倍率はなんと12.6倍となった。

◆東京から普通列車に乗ってやってきた中学生も

 実は、「袴田事件」には2014年の再審決定後も検察側の即時抗告審で再審が一度退けられるなど、紆余曲折があった。そして、今日の再審の判決を向かえられただけに、支援者らの喜びはひとしおだ。

 傍聴希望者は、平日ということもあって全体的に年齢層が高めだったが、大学生などの若者の姿もちらほらと。

 そのなかでも、特に異色だったのが、都内に住む中学1年生の少年の姿。この日は、中学校が休校だったといい、朝4時に起きて自宅のある東京から普通電車に乗って来たとのこと。

 少年によると、袴田事件に対して並々ならぬ想いがあるようで、他の事件と一線を画すほどの興味深さだと語る。

「これまで過去3回、同じように普通電車に乗って静岡に袴田事件を傍聴しようと挑戦してきました。ただ、傍聴券に外れてばかりで一回も当たったことがありません……」(都内在住の中学1年生)

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