「みんなが迷惑していた」バスの車内で“挙動不審”な男性を一喝。勇気ある女子高生に聞かされた「あり得ない事実」

車内で次のバス停がアナウンスされると30代男性は再び降車ボタンを押したそう。

「今度こそ降りるだろうと、私を含め周りの人たちもそう思っていたに違いありません。ところが、彼はまたも『間違えました』とへらへら笑ってみせたのです。

それが一度や二度ではなく、何度も繰り返されたので『意図的に降車ボタンを押して、毎回バスを停車させるいたずらをしているのではないか』と不審に思うようになって。みんなの迷惑そうな顔を見たら、私の中で疑惑が確信に変わりました」

とうとう怒りが頂点に達した環さん。このまま放っておけないと思い、とっさに立ち上がり再び降車ボタンを押そうとする男性の腕を強く引っ張ったと言います。

「かなり頭にきていたということもあり、その時、私は鬼のような形相をしていたと思います。でも、彼に『なんだよ！オバサン』と怒鳴られて……さっきの出来事が頭をよぎり何も言えなくなってしまったのです。そのため、ただその場に立ちすくむしかありませんでした」

絶体絶命のピンチに立たされた環さんに、突如救世主が現れたのだとか。

◆土壇場で助けに入ってくれた意外な人物とは…

「男性の隣に立つ女子高生が彼の肩をポンっと叩きました。すると、彼女は『ちょっとオジサン！いい加減にしてよ、みんなが迷惑しているんだけど』と大きな声で言い放ったのです。

加えて『お姉さんも、この人を注意しようと思ったんでしょ』と私に助け舟を出してくれて。みんなの前で女子高生に厳しく注意されて、さすがに彼もぐうの音も出ないといった感じでした」

周りから冷たい視線を向けられた男性は謝罪し、次のバス停で降りて行ったそう。

◆女子高生から聞かされた「あり得ない事実」

「モヤモヤした気持ちは残ったものの、彼が目の前から消えてホッとしました。早速、彼女に『助けてくれてありがとう』とお礼を言いました。

すると『あのオジサン、いつも自分とそう歳の変わらない女性にわざと席を譲って相手の反応を楽しんでいたんだよ』と事の顛末を話すと、『だから、お姉さんは何も気にすることないよ』と優しく励ましてくれたのです。世の中嫌なことばかりだと思っていたけれど、こうして親切にしてくれる人もまだまだいるんだなと感じ、少しだけ心が救われました」

それからというもの、環さんは女子高生とバスの中で遭遇するたび笑顔で会釈し合う仲になったと言います。

こちらがどんなに気をつけていても、予期せぬトラブルに巻き込まれることは多々あります。混雑するバスの車内はとても狭いので、いざこざがあってもそう簡単に逃げることはできません。いざとなったら、自分の身を守るためどう振る舞ったらいいか、今一度よく考えてみましょう。

＜取材・文／菜花明芽＞

【菜花明芽】
ライター。ゾッとする実録記事を中心に執筆中。カフェでのんびり過ごすことが好き。

―［乗り物で腹が立った話］―