「一発屋芸人」が減った3つの理由。テレビの衰退とともに「滅びていく運命にあるのかもしれない」
日刊SPA! / 2024年10月8日 8時51分
つまり、「一発」が大きく打ち上がる前に別の角度ですぐに分析・解体されてしまうため、純粋な一発屋芸人が育ちにくくなっているのだ。
EXITの2人はキャラクターの裏にある本人たちの素顔に近い部分でも人を惹きつける魅力を持っていたため、その後も生き延びることができた。
ただ、これはまれなケースである。現在の環境では、キャラクターが独り歩きして爆発的に売れるようなパターンが生まれにくくなっている。
◆若者の“テレビ離れ”と、テレビの“子供離れ”
3つ目の理由として、子供や若者のテレビ離れというのも考えられる。娯楽が少なかった時代には、多くの子供や若者が流行の発信源であるバラエティ番組を欠かさずチェックしていた。
だが、今はそのような風潮がなくなりつつある。テレビを見ないでYouTubeばかり見ている若い世代は珍しくない。
一発屋芸人が世の中に広がるためには、子供や中高生がその人のことを話題に出したり、真似したりするというのが不可欠だ。
今でもそういうことがないわけではないのだが、子供が見られる時間帯に放送されるネタ番組がほとんどないため、そこから芸人が出てくることがない。
ある程度まで売れる芸人はいても、それが大ブレークにまでつながらないのは、広げるための媒介となる子供や若者がテレビを見なくなっているというのが大きいのではないか。
◆“一発屋”はテレビが生み出した幻影か
YouTubeやTikTokなどのウェブ系の動画メディアでは、見る人の嗜好に合った動画が自動的に表示されるようになっているし、気に入った動画があれば、その関連動画や同じクリエイターの動画を100本でも200本でも一気に見られる。
好きな動画を繰り返し見ることも簡単にできる。若者を中心に、人々の興味や関心がネットに移っている今の状況では、テレビから大きなムーブメントを起こすことが難しくなっている。
一発屋芸人が出てこないことは、必ずしもお笑い界にとって悪いことではない。そもそも「一発屋芸人」とは一種の蔑称であり、そのように名指しされて良い気分がする人はいない。
芸人が内面を掘り下げられる前に飽きられてテレビから消えてしまうというのは、本人にとっては不本意なことだろう。
ただ、一発屋芸人というのは、お笑い業界が盛り上がっていることを示す象徴的な存在だ。そういう人が出てきていないというのは、大衆文化としてのお笑いが危機に瀕しているということでもある。
一発屋芸人はテレビの衰退とともに滅びていく運命にあるのかもしれない。
<文/ラリー遠田>
【ラリー遠田】
お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『教養としての平成お笑い史』など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』
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