SNSで話題「髭男爵 山田ルイ53世のそっくりさん」の意外な素顔。パチンコデザイナーから印鑑職人に転身、苦境を乗り越えて
日刊SPA! / 2024年10月9日 15時53分
名古屋でパチンコデザイナーになった井ノ口さん。しかし、社会人になって5年が過ぎた頃から、京都に残した、足が不自由な両親を気がかりに感じるようになってきた。
「愛情をいっぱい注いで育ててくれた両親に恩返しをしたい気持ちがふつふつと芽生えてきました。外出が困難な両親にかわり、自分が営業にまわって注文を取れば、店を何倍にも大きくすることができるはずだと野望も抱いていたんです」
平成6年に退社し、京都へ戻った井ノ口さん。当時はまだ印鑑のデジタル化は進んでおらず、印鑑業界は羽振りがよかったという。
「組合の青年部の月例会へ行くと、打ち上げはいつも祇園の高級店なんです。『印鑑業界は潤っているな~』と感心しましたね。私はお金がなかったので、会合へ行くたびにおごってもらっていました」
◆月に1本も売れず宅配便のアルバイトを始める
そうして家業に入った井ノ口さん。「営業して新規の注文をとってくる」「店を大きくしてあげる」と両親に豪語するも、現実はうまくいかなかった。
「店の周辺が工場地帯なので、会社をまわれば印鑑の受注はいくらでもあると考えていたんです。甘かったですね。営業経験がなく、門前払いの連続でした。1本も売れない月もあったんです。印鑑の製造に他業種が参入し、安いゴム印が普及し始めた時代でもありました」
印鑑のデジタル化こそまだ進んではいなかったが、廉価なゴム印の製造で他業種や海外からの参入が増えていた。井ノ口さんはここで初めて印鑑業界の危機を肌で感じたという。そして井ノ口さんは、店を大きくするどころか、自分の人件費のせいで店が赤字になるジレンマを抱えるようになってしまった。
「両親を安心させたくて京都へ戻ってきたのに、反対に両親に迷惑をかけてしまう。それがつらくて、夜はクロネコヤマトの宅急便で働いて自分の給料ぶんを稼ぐ日々でした」
◆時代に先駆け制作したホームページが業界重鎮の逆鱗に触れる
自分には印鑑業界はむいていない。もう辞めよう。そう諦めかけていた矢先、「ホームページで注文を取る方法がある」と知る。
「まだパソコンのOSがWindows95だった時代です。インターネットを使えば印鑑の注文を請けられるかもしれない。そう思って、まだ初版の頃だったホームページ・ビルダーを使い、今では考えられないような質素なWebサイトを制作しました。すると、ここからオーダーの依頼が届くようになったのです」
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