“ワケあり”専門の不動産屋に聞く、賃貸契約のウラ側。「審査に落ちる人」が利用する“アリバイ屋”とは
日刊SPA! / 2024年10月17日 15時53分
「退去日に立会ったんですが、管理会社とオーナーさんが大変ご立腹で……。お客様の方も荷物を出す時にわざと壁にぶつけるといった嫌がらせをされて、それでまたオーナーさんがお怒りになったりして、見ているこっちはヒヤヒヤものでした。後日談として、退去日にオーナーさんがスタッフから売り上げを取り上げたために、お客様がわざと子どもじみたことをしたと聞きました。本当かどうかはわかりませんけどね(苦笑)」
◆メンズエステ店に場所を貸した不動産屋も逮捕された
メンズエステについては、「最近増えている」程度の認識しか持っていない人も多いだろう。しかし実際には、不動産屋生命を脅かす危険性の高い犯罪なのだとA氏はいう。
「今年の夏に、メンズエステ店の経営者が逮捕される事件がありましたが、その後に、メンズエステの営業目的と知りながら、住居目的と偽って賃貸契約をしたということで不動産屋の社長が逮捕されました。実はこの流れって、特殊詐欺事件と同じなんですよ」
特殊詐欺事件がニュースになった当初は、内情が不鮮明だったために違反者を取り締まるだけだった。やがて内情が明るみになり、社会問題に発展すると、「アジトとなる場所を貸し出した不動産屋も悪いのではないか」、「もしかしたら、不動産屋も犯罪組織とグルなのではないか」という憶測が飛び交いはじめた。
「社会問題を背景とする間口の縮小化は仕方ないです。この事件以降、メンズエステ営業が目的の場合は物件の紹介を断るようしました。ただ、お客様から虚偽の申告をされても見抜くことはなかなか難しいですし、追求もしにくいので、これといった対策ができないまま間口を狭めないといけないのは、経営者としてとてもツライですね」
◆捜査一課からの電話に冷や汗
メンズエステ以外にも、行方不明者の情報提供依頼などで月に1度は警察から連絡が来るという。
「組織犯罪対策課と捜査二課からの連絡が多いのですが、一度、捜査一課から呼び出されたことがあります。捜査一課といえば、殺人などの強行犯捜査や誘拐などの特殊犯捜査を担当している課です。めちゃくちゃ焦りましたね」
呼び出しの理由は、A氏の不動産屋とアリバイ屋の利用者が、ある殺人事件の捜査線上に容疑者として浮上したとのことだった。
「ただし、物的証拠がないので、警察側もどうにも動けなくて、最後の頼みの綱でうちに連絡したそうです。でも、そのお客様とは賃貸契約以外の接点は全くなかったので、すぐに話は終わりました」
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