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元ラブホ従業員が明かす、地方のラブホならではのハプニング。“招かれざる客”は人間だけとは限らない…

日刊SPA! / 2024年10月22日 15時51分

 客室には、大人の手のひらサイズの蛾が鎮座していたのだとか。そんな日に限って満室だったため、部屋の移動をお願いできる状況ではなかったそうだ。

「田舎なのでたまに大きな蛾に遭遇しますが、いざ捕まえるとなるとかなり怖かったです。カップルとオーナーと私で捕まえて逃がしたときには、妙な連帯感さえありました」

◆ときには歓迎される虫もいる

 しかし、決してこんな虫トラブルだけではない。いつものようにフロントコールに出ると、「あの、部屋に虫がいて」。前田さんは「ああ、また捕まえに行かなきゃ」と思ったのだが……。

「網とかってあります?」

「どうやら、ベランダからカブトムシが入ってきて、お客様は捕まえたいとのことでした。たまに、カブトムシやクワガタもやってくるんですよね。基本、捕まえた虫は逃がしますが、なかにはお持ち帰りするお客様もいます」

「わぁ、大きい! ヒラタのオスですかね」
「いや、あの顎はノコギリじゃないですか?」

 と網を持ち、客と天井を見上げて盛り上がってしまうこともあるようだ。

◆豪雨の日はビーチサンダルで出勤

 台風が直撃すると臨時休業をする企業や店舗が増える。しかし、前田さんが働いていたラブホは通常営業だったという。 

「そんな日に利用する人はいるの?と思われるかもしれませんが、通常時の6割くらいの利用があるんです。傘では間に合わない強さの豪雨のなか、ビーチサンダルを履き、パンツの裾を膝まで折り返して出勤していました」

 着替えも持参するため、いつもよりも大荷物になるそうだ。車や交通機関を使って出勤する人は休みになり、ラブホ街に住む近所の人たちが徒歩で出勤することになる。

 出勤した前田さんは、「いつもよりも暇」ということはなく、台風や豪雨の際に必要な仕事が待っているという。

◆全身びしょ濡れになりながら…

「道路よりも少し低くなったラブホの1階部分が駐車場なのですが、『泳げるんじゃない?』というくらい水が浸入してきます。その水を排水するのが主な仕事です」

 出勤時の格好は排水作業のためでもあるそうだ。駐車場には屋根があるため、出勤時よりはマシな状況だと前田さん。しかし、対応するスタッフたちは“妙なテンション”で水の中にいるという。

「台風の影響はスタッフの情緒までおもしろくしますね(笑)」

 “T.M.Revolution”や“B’z”のPVを真似た悪ノリが繰り広げられることもあるが、仕事はきちんと行っている。そして、最終的には全身がびしょ濡れになるそうだ。

「その状態で事務所に戻ると、オーナーの奥さんが待ち構えていることが多いです。『ほら、お風呂入っておいで!』とバスタオルを渡されます」

「お風呂?」と思われるかもしれないが、ここはラブホ。空いている部屋のお風呂を各々が拝借し、そのまま掃除をするという。

「今の雷すごい!」
「わー、終業時が一番の大雨……。さっきお風呂入ったのに帰ったらまたシャワーだな」

 と話しながら、いつもはできない在庫管理を行う。

「台風時のラブホ業務も意外に楽しいんです」

<取材・文/資産もとお>

―[ラブホの珍エピソード]―

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