「自傷行為を止めるため」刺青を彫り続けた女性が、「舌先を2つに割った」ときに立てた誓い
日刊SPA! / 2024年10月26日 8時54分
刺青を宿すことによって、ゴメスさんは自傷行為から解放された。また、人体改造にも目覚めた。
「身体のなかで気に入っているのは、『マイクロダーマルインプラント』と呼ばれる、埋込式のピアスでしょうか。それから、世間では嫌われる“2枚舌”であるスプリットタンにすることで、『自分は人に対して不誠実な対応をしない』という逆の誓いを得ました。また、さまざまな刺青を入れてきましたが、珍しがられるのは腋に入れた刺青ですね。腋という普段見せない場所に大きな目玉を彫ったんです。誰も見ていないと思っていても、必ず見られているという教訓を体現したものです」
◆母は「愛情の示し方がわからなかったのではないか」
今年、再婚相手との間に子どもが生まれたばかりだというゴメスさん。精神障害者保健福祉手帳を持つ彼女には、継続した養育が困難だった時期があり、現在は児童相談所に預けている。だが近日中に、一時帰宅の目処が立っているのだと嬉しそうに話す。
「私の母も愛してくれていたんだとは思います。実際に、愛情を感じた場面もあります。ただ、いろいろな状況のなかでその正しい示し方がわからなかったのではないかと感じます。私の子ども時代は、どんなときも母を愛していました。両親の“反省点”も含めて、私は私なりの子育てをしようと思えました。その点はポジティブにとらえています」
家族という密室空間が常に緊迫し、安心できない場所になれば、行き場のないフラストレーションが身体を蝕むこともあるだろう。暴力の方向を自らに向け、流れ出る血液でしか生を実感できないこともあるかもしれない。
ゴメスさんは荒野を生き抜いた。だがその荒野を指さして彼女は言う。「優しさがまったくない場所というわけでもなかったんです」と。おそらくその真偽を問うことに意味はない。ひとりの女性が世界を憎まずに生きたいと願った結果、捉え直した世界にこそ、意味がある。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
薬、iPhone、財布…“チェックリストの刺青”を腕に刻んだ女性の半生。薬を飲み忘れ「やらかした」事件を経て
日刊SPA! / 2024年11月17日 8時54分
-
「産んだことを後悔している」両親から虐待を受け続けた女性の半生。現在は「加害者を気にしている時間などない」
日刊SPA! / 2024年11月11日 15時53分
-
「刺青があるからMRIが不安だった」30歳で乳がんが発覚…3児のシングルマザーを直撃
日刊SPA! / 2024年11月2日 8時54分
-
「乳首を切除した」女性の人生。胸に突起物がついているのが「どうしても嫌だな」と感じた
日刊SPA! / 2024年10月28日 8時54分
-
「全身に“虫の刺青”を入れた」24歳女性が、“中卒の元ヤン”だった両親に感謝しているワケ
日刊SPA! / 2024年10月23日 15時54分
ランキング
-
1ファミマの「発熱・保温インナー」はヒートテックより優秀? コンビニマニアが比較してみた
Fav-Log by ITmedia / 2024年11月21日 19時55分
-
2【冬の乾燥対策に】ドラッグストアで手軽に買える! ハンドクリーム5選
マイナビニュース / 2024年11月21日 17時0分
-
3とんでもない通帳残高に妻、絶句。家族のために生きてきた65歳元会社員が老後破産まっしぐら…遅くに授かった「ひとり娘」溺愛の果て
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月21日 8時45分
-
4この症状が出たらすぐ対策を!50代女性の3人に1人が悩む尿漏れ・頻尿の原因【専門医が解説】
ハルメク365 / 2024年11月21日 22時50分
-
5冬は血管がドロドロになりやすい…「絶対に放置してはいけない脳卒中」リスクが急増する"危険な場所"
プレジデントオンライン / 2024年11月21日 18時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください