1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「コスパ第一の現代人」に東大生がオススメする作品とは。原作漫画が大ヒット&10月からアニメ化で話題

日刊SPA! / 2024年10月27日 15時52分

 そもそも、この作品のタイトルである『チ。』は、地動説や地球を表す「地」でもありながら、おそらく「知」でもあります。

 異端研究がバレたら、苛烈な拷問の末に最悪殺されてしまう状況下で、それでも研究をつづける人々には、それぞれ「究極の真理と向き合いたい」とする知的好奇心があふれています。

 宗教世界の縛りから離れ、近代的な「常識や前提を疑う」研究態度を持ち続けた知の奉仕者たちの命のリレーであったとも解釈できる。

 さらにいえば、彼らは利益を追求しません。「役に立つから」「金になるから」と研究を始める者はいますが、最終的にはそういった利害関係を超えたところに自らの使命を見出しています。

 最終話付近では「役に立たない研究はいらない」とする言説も確認できますが、それでもなお研究を続けた人々がいたからこそ、今の世界が成り立っています。

◆闇雲に「コスパ」を求めることが幸せか

 私は東京大学の文学部に通っています。科学系、工学系の学部とは異なり、文学部で行われる研究は、正直研究が進んだからと言ってすぐにお金に代わるようなものはほとんどありません。

 それでもなお、人生をかけて研究を続ける人々が絶えないのは、「コスパ」の領域を超えたところにやりがいをみつけるからではないでしょうか。

 現代人は「コスパ」「タイパ」を気にして生きるべき、という言説が目立ちます。少し前は「FIRE」(若いうちに大金を貯めて早期退職すること)が流行し、目指されました。

 ですが、そのような人生はいったいどこに向かっているのでしょうか? 過度な効率の追求は、逆に幸せを失っているようにも思えます。

 私が仕事で高校生の進路相談に乗るときには、「大学に行ったほうがお金を稼げる確率は高まる」としつつ、「お金よりも大事なやりたいことがあるならば、それを目指したほうがいい」と伝えます。

 コスパやタイパは、目標が決まっているときに初めて意識されるものであって、いたずらに時間を圧縮しても、その先に待つのは空虚な無です。

 短くともやりがいを見つけて散っていった『チ。』の研究者たちと、長い人生を効率よく生きようと闇雲にコスパを叫ぶ現代人。果たしてどちらのほうが幸せな人生を送っているのでしょうか。

【布施川天馬】
1997年生まれ。世帯年収300万円台の家庭に生まれながらも、効率的な勉強法を自ら編み出し、東大合格を果たす。著書に最小限のコストで最大の成果を出すためのノウハウを体系化した著書『東大式節約勉強法』、膨大な範囲と量の受験勉強をする中で気がついた「コスパを極限まで高める時間の使い方」を解説した『東大式時間術』がある。株式会社カルペ・ディエムにて、講師として、お金と時間をかけない「省エネ」スタイルの勉強法を学生たちに伝えている。(Xアカウント:@Temma_Fusegawa)

―[貧困東大生・布施川天馬]―

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください