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現役自衛官が、闇バイトで強盗犯になるまで「クリスマスに遊ぶマネーがほしいです」

日刊SPA! / 2024年10月30日 8時47分

「検察側の冒頭陳述によると、ギャンブルなどでつくった約430万円の借金が上官に発覚し、中桐被告は2022年11月、無断で自衛隊の所属部隊から脱走。SNSの闇バイトを検索し、「ミツハシ」と名乗る指示役と知り合った。ミツハシは今村(磨人)被告とみられる。」(読売新聞2023年7月26日付。カッコ内は筆者引用)

 そこからの転落は瞬く間だった。2022年12月、「ミツハシ」の指示どおりに高級腕時計を売却することで、約55万円の報酬を手にしたという中桐。それは直前に永田らが広島市の時計販売買取店に押し入り、奪った130点以上の腕時計(2439万円相当)だった。
 ミツハシから、それに続く「仕事」として持ちかけられたのが、リサイクルショップを襲う実行犯たちの運転役だったのだ。自衛隊を抜け出してから、千葉県警に逮捕されるまでわずか49日間の脱走劇だったことになる。

◆「クリスマスに遊ぶマネーがないです」

 裁判では、検察側によって、中桐とミツハシが通話アプリ「テレグラム」を介して行ったやりとりも再現された。そこから、あまりにも無防備に闇バイトに足を踏みこんでいく中桐の姿が浮かびあがる。

中桐「クリスマス遊ぶマネーがないです」
ミツハシ「仕事あるから心配ないよ」
中桐「すぐありますか。仕事が中毒です」「今ばりばりほしいです」
(読売新聞2023年7月26日付から筆者が再構成)

 リサイクルショップ強盗の運転手役を持ちかけられた際のやりとりでも、犯行を前にした戸惑いや罪悪感は読みとれない。

ミツハシ「店舗の見張りと当日のドライバー。成功報酬50万円」
中桐「どこを襲うんですか」
ミツハシ「千葉の買い取り店」
中桐「お金奪って安全運転で終わるやつですかね」「安全運転で頑張ります」
(読売新聞2023年7月26日付から筆者が再構成)

◆実行犯の故郷·三重県松阪市の家族を訪れると……

 筆者が中桐の故郷を訪れた2023年末は、判決から約5か月後というタイミングだった。松阪駅からは車で1時間半ほどの距離。三重県松阪市内の中心部から奈良県境に向かって片側1車線の国道を走りだすと、やがて車線を分けるセンターラインは消え、何本もの巨大な丸太を牽引したトレーラーと道路幅ギリギリですれ違うようになる。
 
 中桐の故郷は、主要産業の一つが林業という山間部にあった。
 周辺は、急峻な山々に挟まれた渓谷である。国道から枝分かれした道を折れてさらに車で山中に進むと、ところどころに開拓された棚田や里山が現れ、集落が形成されている。

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